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AGF社の業績について過去3年間の営業利益を見ると、2011年度から大きく改善している様だが、その背景および今後3年間の売上高および営業利益見通しを教えて欲しい。
2011年度の営業利益が低かった理由はコーヒー豆価格の高騰であり、2012年度以降は通常の水準になっている。今後3年間の業績見通しについては、AGF社の2015-2017年度中期経営計画をベースに本件によるシナジー効果をプラスし再度作成していく。2014年度の営業利益(当社へのコミッション支払い後ベース)は約40億円になるだろう。2015年度業績予想は当社もAGF社も現在策定中である。コーヒーの生豆価格は昨年上昇し現在は少し落ち着いたところ。コーヒー生豆の価格変動の影響を緩和すべく、その使用比率を落とす様な取り組みを様々な形でやっている。例えばスティックコーヒーの中にはミルク成分と砂糖が入っているので、販売が増加すると生豆の使用量は増加するものの使用比率は下がる。それらを踏まえると2015年度も増益の計画が立てられるだろう。さらに、2020年度を目途に売上高を今の1,000億円規模から4割、5割増やすプランについてもこれから作成したいと思っている。
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AGF社の全株式を取得することによって、2015年度の株主還元方針に影響は出てくるのか。
本件があっても2014-2016年度中計で掲げた株主還元方針である3年間平均での総還元係数50%と単年度での配当性向30%については変わらない。
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2014年度の売上高見通しはいくらか、増収になるのか。
3月末締めなので未だ終わっていないが、若干の増収となるだろう。この中にはIntentionalな減収も含まれる。利益が出ない液体コーヒーの売上高比率を下げたが、全体としては目標通りの着地となるだろう。
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トップラインシナジーについて国内、海外それぞれでどの様に捉えているのか。またコストダウンシナジーについて、今後3年間で営業利益にどれくらい寄与するか。
株式取得金額にはシナジー効果を全く織り込んでいない為、これから本格的に検討していく。トップラインシナジーについては、直接的なトップラインへのシナジー効果よりは、商品力が強化出来るという事が一番早く出現するシナジー効果だと思う。当社が独自で発見し製造技術を開発し世界で展開しているコク味物質というものがある。色々な効果があるが、特に乳や油脂にうま味を増強させる効果があり、タイでは既に「Birdy® 3in1」に使い始めている。この様に、当社の香り、うま味、コク味の技術で商品の資質を高める相乗的な効果がある。AGF社もコーヒー豆の品質を高める製造技術を開発しており、それを当社商品にも活かせるというシナジー効果が期待出来るが、それ以外も検討している。
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2014年度の営業利益(当社へのコミッション支払い前ベース)を約60億円と予想すると営業利益率は約5-6%となるが、いつ頃に営業利益率10%超えるイメージを持っているか。
先々、商標権を取得しロイヤルティ支払いをなくすという選択肢もありうる。その場合、さらに相乗的な効果を合わせる事で、10%までには及ばないが、それなりの営業利益率になると思う。
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海外売上高に絞った場合、今後のポテンシャルはどの様に見れば好いか。
現在、当社の専門チームで検討しており数字を申し上げる事は出来ない。今回の買収にはその数字は織り込んでいないという事だけ申し上げたい。当社の2014-2016年度中計の中でもFive Starsにおいて粉末嗜好飲料は大きく伸ばす分野に入っている。この分野について、AGF社の貢献を期待している。
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当社の冷凍食品を除く国内事業の営業利益率と比べるとAGF社の営業利益率の方が低いが、今後どの様な方法で改善していくのか。
AGF社はロイヤルティをモンデリーズ社に支払っている。これは、今後も続く契約になっている。商標権を買い取りこの支払いをなくす選択肢はありうる。また、プロダクトポートフォリオを見直している。AGF社の売上高の大きな部分を占めるのは液体のボトルコーヒーであるが、売上高も大きいが値引きも大きく、この分野では営業赤字となっている。これらを見直していく事で営業利益率を上げられると考えている。直近ではコーヒー豆をより効果的に使う新しい技術をAGF社が開発しているので、これも売上総利益率および営業利益率を上げる要因となるだろう。
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AGF社は当社へ2013年度に17億円のコミッションを当社に支払い、またロイヤルティをモンデリーズ社にも支払っているという事だが、本件による営業利益の増し分についてどの様に捉えれば好いか。また、モンデリーズ社に支払っているロイヤルティの中身および支払いの背景を教えて欲しい。
モンデリーズ社側へのロイヤルティの支払いが継続する理由は、今後モンデリーズ社が49%、D.E. Master Blenders社が51%の出資で設立するジョイントベンチャーが商標権を引き継ぐ為である。モンデリーズ社へは、技術と商標のロイヤリティ、当社へは経営指導のコミッションを支払っている。
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開示資料によると業務用の売上高が拡大しているという事だが、CVSカウンターコーヒーの採算性は高いのか。AGF社全体の営業利益率5%と比べてどうなのか教えて欲しい。
業務用と言っても様々な取り組みをしており、必要な営業利益率はしっかりと出ている。
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開示資料によると、AGF社の営業利益は2011年度から2013年度にかけて大きく改善している様に見えるが、2010年度以前は2013年度並みの利益水準だったと認識している。コーヒー生豆相場の下落が利益水準低下の主要因との事だが、今後はコーヒー生豆相場が乱高下する中でも安定的に利益を確保出来る構造になっているのか。
国内において安定成長し続ける事が大事。確かにコーヒー豆相場によって利益水準が変動する事があるが、2002年にスティックコーヒーを発売してからは収益構造が変わってきており、全体としては安定的な構造になってきている。インスタントコーヒー市場では競合が強いが、スティックコーヒー市場ではAGF社が圧倒的に強い。業界として今後成長が見込まれる個食化への対応という点で、AGF社はかなり先を行っている。所謂ギフトを含めた家庭用コーヒー市場における金額ベースでのシェアでは当社がトップである。今後も成長が期待出来るスティック製品を軸に安定的に成長していきたい。
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海外においては、新たな商品を発売するというより既存の味の素グループの商品を付加価値化する方針なのか。また、複数紹介されたシナジー効果の中で、伊藤社長が最も期待する事は何か。
食品も嗜好飲料も地域特性が強いと認識しており、当社は各国の嗜好に根差した商品を開発、販売している。タイの「Birdy®」の様に、現地で受け入れられた商品は競合との競争においても圧倒的に勝つ事が出来ている。「Birdy® 3in1」の様な粉末飲料も同様の考え方で事業を行っている。それらの商品群の中にAGF社の技術や当社の香り、味覚に関する技術を取り込んでいく事で強い商品群を作れると思っている。その事が全体の利益構造の強化に繋がっていく。既に調味料領域では同様の取り組みを行っており、競合との競争に勝つ等、成果も出ている。商品1つ1つのベースとなる力を圧倒的に強くしていく。具体的な事はお話し出来ないが、日本で販売している商品を海外各国で現地化させる事が出来る。また、日本で使われている技術が海外の商品にも使われる事で、より強い商品群を持てるだろう。具体的には、外部に販売しないスペシャリティ原料であるコク味成分を開発し、当社商品の付加価値を高める為だけに使用している。AGF社の独自技術も、当社商品に使用していく。
(AGF社の技術の中で、コーヒー豆に関わらない粉体技術としてはどの様なものがあるのか、との問いに)既に紅茶やココアといった領域の商品があるが、それらを作り出す技術。 -
当社が狙っている市場や潜在需要、本件によりその需要をどの程度取り込め、トップライン成長に繋がるか等を教えて欲しい。
コーヒー市場だけを見てみても、業務用やコンビニのカウンター等様々な領域がある。家庭内を見てみると、従来瓶に入っているコーヒーの領域がある。当社が今後狙う市場はこの領域であり、この市場をスティック商品に置き換える事を狙っていく。既存市場のうちどれだけを取り込めるかという数字はないが、日本の食品業界の構造変化を捉えており十分に狙っていけると思う。
当社事業とAGF社のシナジー効果が想像し難いとの事だが、粉体を小袋に詰めるという意味ではスープと製造技術自体に大きな差はなく、両社の技術でシナジーを生み出せるだろう。
(現在の家庭用コーヒー市場規模はどの程度か、との問いに)所謂瓶入りのインスタントコーヒーは約1,000億円の市場と推定。コーヒー市場全体では約5,000億円の規模であり、その中の構造が変わっていくと思っている。
(コーヒー市場全体の5,000億円には缶コーヒーも入っているのか、との問いに)入っていない。スティックやチルドのカップやギフト、ドリップするタイプ で構成されている。非常に細分化しており、従来の瓶入りのインスタントコーヒータイプ以外も想像して頂きたい。
(AGF社の売上高1,448億円の内、スティック製品はどの程度の割合か、との問いに)商品群別の売上高内訳は非開示。
(当社が狙っている市場の潜在需要は数千億円規模という認識で好いか、との問いに)Yes。但しそれ以外にも業務用用途等もあり、簡単に計算出来ない。
(その様な大きな需要を、当社独自のコク味技術等で獲得出来るという事か、との問いに)Yes。但しコク味技術だけでなく、スティックという新たな形態そのものが需要を獲得出来ると思っている。
基本的な考え方として、消費者ニーズが手頃で簡単な「For Me」になっており、緑茶市場もインスタントの商品が年々拡大している。従来の作り方では茶葉を処分しなくてはならず、それが面倒で消費者ニーズはより簡便な方向へ向かってきている。同じ様なニーズの細分化がコーヒーやそれ以外の市場でも起こるという事。例えばココア市場ではAGF社のシェアは2位。昔の様にお鍋で作るのではなく簡単に粉末から作れる様になり、拡大してきている。スープも従来はお鍋で数人前をまとめて作るものであったが、今では個食のカップスープが主流になっている。
(スティック製品の競合はどの様な企業か、との問いに)スティック製品では直接競合する会社があるが、スティック製品で置き換わろうとしている領域は広く、そこまで含めると多くの競合が存在する。 -
本件は持分法適用子会社を連結子会社化する案件だが、当期純利益への影響を教えて欲しい。270億円の投資によって、2015年度以降どの程度業績にプラスに影響するのか。
2015年度以降は、2013年度実績で考えると営業利益が32億円増加、それに対応する当期純利益分が増加する。但し、従来は持分法投資利益として当期純利益の半分が連結されていたので、2015年度以降はAGF社の当期純利益の半分が純増となるイメージ。
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のれん代の考え方。発生金額と償却年数を教えて欲しい。
のれん代と無形固定資産の合計で360億円程度を見込んでいる。償却年数はまだ確定しておらず、のれんと無形固定資産の振り分けもこれから精査する。
(のれん代およびその償却期間はまだ分からないとの事だが、のれん償却を加味しても2015年度の営業利益にはプラスに寄与するか、との問いに)Yes。 -
AGF社の売上高の商品群別構成比イメージを教えて欲しい。
売上高の商品別構成比は非開示。今後、分かり易くする事を検討する。
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当社の飲料事業の国別内訳について、タイとそれ以外のイメージを教えて欲しい。
国別の内訳は非開示だが、年々拡大している。
(90 %近くがタイという認識で好いか、との問いに)No。そこまで大きくはない。