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「勝ち飯®」の活動がどのような形でブランドエクイティにつながっているか。
今はまずメディアを通じて「勝ち飯®」に関する情報を流し、製品とつながるようにしている。消費者とのタッチポイントを考えると、量販店だけでなく、外食もあり社員食堂などもある。生活場面での至る所で「勝ち飯®」というワードが出てくることで、メディアとの連動性を高めるということがベースになっている。また例えば行政便りなどで「勝ち飯®」や栄養に関する記事を書いていただき価値を共有することで、メディアとの相乗効果により製品ブランド価値向上につながる活動をさせていただいている。
(「勝ち飯®」の活動前と比較し、ブランドエクイティがどのように変化したか。「勝ち飯®」の認知拡大の状況、また今後の目標はどこか、の問いに)
「勝ち飯®」の活動ターゲットをアスリートから頑張る人全てに、という形にしたのが4年前。国内の調味料・加工食品市場が縮小している中で、当社は4年間で5%程度売上を伸ばしている。実際に店頭で展開した場合、量販店の売上は約1.2倍、当社製品の売上は約1.0~1.1倍がメルクマールと捉えている。 また、「勝ち飯®」認知度は全体で約30%。当社が具体的な施策でアプローチしている部活生・受験生を子供に持つ保護者においては認知率47%まで認知が上がってきている。このターゲットにおいては2020年3月までに70%まで達したい。
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「勝ち飯®」を店頭で展開すると売上が拡大するということであったが、フェア実施後の状況はどうか。認知拡大につながり売上のベースが上がるのか、もしくはフェア実施時のみの影響なのか。
一度展開したからといって、持続的に製品の売上が伸びるという効果はまだない。ただし当社がフォローしている店舗総数の割に展開延べ店舗数が多く、年に数回ずつ実施をしているので、これが定着すると減塩が大事だとか、野菜摂取には「CookDo®」が良いといった認知が拡大すると考えており、今後の期待値というのが現段階。
(アンケート調査などで認知の状況を定量的にとったデータはあるか、の問いに)
点での話になるが、岩手県では行政が減塩の日を訴求してくださっており「ほんだし®」と一緒にいつも「お塩控えめの・ほんだし®」が並んでいる。結果通常品の売上は維持したまま、減塩品も+15%程度伸びているというデータがある。減塩というニーズに対し、風味調味料もあるのだと認識されている。認知率については別途上記の内容(全体30%、施策対象者47%)で回答。
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「アミノインデックス®」について。新たに事業部になるということだが、年間の受検者数と単価に関するデータがあれば教えていただきたい。また生活習慣病リスクスクリーニングなどは、まさにヘルスケアと食品の間の未病対策につながるものかと思うが、これをどのように上手くマネタイズしていくのか具体的なイメージがあれば教えて欲しい。
当社はアミノ酸の解析データに基く診断を担当している。血液検査自体は病院などで当社のパートナーにやっていただいている関係もあり、財務上の数字は明るみにできない部分もある。ただ一つの施設では平均して約50検体を扱っており、実施施設数は増加しているため結果的に売上は拡大している。単価は現在のところ約2万5000円。単価が下がれば一気に展開が拡大するのではという議論もあるが、検査サービスのプレーヤーが増えてきている中で、当社が先行企業として8年間エビデンスを蓄積し続けていることを考えると、当面単価ではなく一つの検査で色々なことが分かるという利便性を提供していきたい。マネタイズについては、現在は、検査サービスのマネタイズに徹している。例えば、癌のリスクがあると診断された場合には、ソリューション上は癌の治療となる。よって、当社が直接携わる分野は少ない。ただ生活習慣病になってくると、サプリメントを始めとし、ソリューションという観点でビジネスが立体化されてくる。その点に関してはまだ準備段階だが、今後は、リスクスクリーニングとソリューション提供も含めたマネタイズのモデルを実現したい。
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当社の「アミノバイタル®」のブランドを「勝ち飯®」のコンセプトの中で拡大することができると思うが、どのように融合しているのか。他社の製品と差別化はできているのか。
「勝ち飯®」をスタートした時は、最初の発信はアスリート向けに「アミノバイタル®」がベースにあった。スポーツに特化している人に対しては、個別に発信するなどターゲット絞ったマーケティングをしている。働く全ての方については、まずバランスの良い食事を摂ってもらうことがベースにある。食生活を通じて、美味しく食べて健康作りの企業理念の元にある活動を「勝ち飯®」としており、補食という形で「アミノバイタル®」をプラスして訴求する活動をしている。ドラッグストア向けは「勝ち飯®」提案の際に「アミノバイタル®」などの補食を訴求している。 -
ASVは社員に浸透してきているか。仮に浸透している場合、目先の利益を追いかけるだけでなく、その先に社会課題の解決があるという事が浸透していると思う。それは社員一人一人のモチベーションアップに繋がっているのか。モチベーションアップに繋がっているのだとすれば、それが当社営業の強みとなるだろう。
社員への浸透状況については、当社は2年に1回エンゲージメントサーベイを導入している。これはグローバルを含めた味の素グループ全従業員を対象としている。基本的にはWebで調査しているが、環境が整っていない地域では紙で調査している。その中で、ASV浸透・共感に関する項目については、90%以上の高い数値となっている。また、従業員のモチベーションについては、同サーベイの中で「働きがいを実感している従業員の割合」の2020年度目標を80%以上と掲げている。第1回目となる2017年度の調査では79%と目標に近い水準となった。この調査を分析すると、社会とどの様に結びつきがあるかについて、関心が高い従業員が多いことが分かった。これはモチベーションアップに繋がっているおり、営業現場においても同様のことが言えるだろう。 -
過剰栄養と不足栄養という社会課題について、多くの人は実際に自分がどの様な状態になっているか把握できていないと思う。そこに対して営業が啓蒙活動を実施しているのか。
個人の栄養摂取状況を啓蒙する活動は広範囲では出来ていない。一方でドラックストアをご利用頂いているお客様については、「しっかり食べチェックシート10」を、健康に気を使っているお客様に配布し、それを基に薬剤師および管理栄養士が栄養状況についてアドバイスを行っている。このシートは毎日10品目をバランスよく食べているか否かをセルフチェックできる。その中でメニューの提案をし、栄養課題の解決に繋げている。量販店に来店するお客様へはまだこれらの活動は出来ていない。流通様の方針に合わせた取り組みを行っている。 -
今回で5回目の説明会開催となるが、当初から活動していた「UMAMIの更なる普及とMSGのネガティブなイメージを払拭する取り組み」はこの4年間でどの様に進捗しているか。
UMAMIという言葉の認知度はニューヨーク、ロンドン、上海、香港等の大都市を中心に拡がってきている。米国では「フード・フォワード」と呼ばれる食に関心を持ち、マスメディアやSNSを通じてメッセージを発信する人々がいるが、全米に1,000万人いると推定した場合、現状ではUMAMIをポジティブとしている人が66%、MSGをネガティブに捉えている人が39%となっている。目指すところは、UMAMIもポジティブ、MSGもポジティブと捉えてもらうこと。最初の取り組みとして、当社が100周年を迎えた2009年頃からトップシェフやキーオピニオンリーダーの方々を通じてUMAMIを普及させる活動を実施した。現在ではUMAMIの認知度は広がり著名なレストランでも出汁やUMAMIという言葉は一般的に使用されてきている。次の段階はUMAMI=MSGと認知してもらうことである。2018年9月にニューヨークで当社主催の「WORLD UMAMI FORUM」を開催した。その結果が数値に反映されるのはこれからだが、うま味調味料でおいしい減塩料理ができるという情報発信は多くの方にインパクトを与えることができただろう。この活動に即効性はないが、チャイニーズシンドロームの世代から入れ替わってきている昨今においては、一度理解を得ると浸透は早いと考えている。
(ニューヨークでの「WORLD UMAMI FORUM」は継続するのか、との問いに)
ニューヨークという場所が最も適しているのかはよく検討したいが、2年に1回は継続する予定である。また、コンテンツを進化させ、情報の鮮度を保っていく。 参考>:米国「フード・フォワード」のイメージ Positive image of UMAMI:現状66% → 2020年目標90% Negative image of MSG:現状39% → 2020年目標20%