※赤字:2月21日の回答より訂正
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既存の提供価値を上げていきたいという話があり、これが一つキーポイントだと思うが、これをやりきるために西井社長が今何を一番課題として持っているのか。どこを大きく変えないといけないと思っているのか。ここをやりきるための具体的な戦略について教えてほしい。
価値向上の戦略に転換するということについては、主に重点事業について申し上げると、海外のコンシューマー事業における転換だと受け取ってもらえればよい。日本国内の食品事業やヘルスケア事業というのは、もともと単価向上に対する戦略を積極的に行っている。従って、これまで当社が取ってこなかった、海外の冷凍食品も含むコンシューマー事業が対象になろう。
これらについては、これまでおいしさを追求するということで、さまざまな原材料のコストの上昇等については単純な値上げということで取り組んできた。しかしながら、基本的な製品の価値を上げ、それをお客さまに届け、その価値を評価してもらってユニットプライスの高い商品を買っていただくという戦略への転換がとても大事だろう。
それをどのように実現していくかということについては、まずベースになるうま味によって減塩を上手に進めることができるというメッセージと、それに対するマーケティング戦略の変更が必要。うま味調味料(商品「AJI-NO-MOTO®」と「AJI-NO-MOTO®Plus」)によって、製品の改定をすることなく基本的なマーケティング戦略の変更、追加で実現できると思っている。従って、健康価値の訴求はまず真っ先に2020年度からスタートし、価格向上および価値向上についての手応えを得たいと考えている。そして主力の風味調味料についても、主要な国々での減塩商品の発売によって上乗せし、マーケティングしていくというストーリーである。
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新興国を中心に持続的に価格を上げていきたいというメッセージがあったが、この内訳のイメージを教えてもらいたい。いわゆるミックスの改善になると思うが、減塩のような健康機能をもった高付加価値製品の比率上昇による価格の上昇と、既存の製品を含めた単純な値上げの2つがここに入っているのではないかと思う。今後3年間どういうウエイトのイメージを持っているのか。また、持続的にという話であるので、その先も上げていかないといけないのだと思うが、その際にバランスの変化があるのか。
価格上昇についてはスライド19ページでも構造を示している。健康価値の訴求によるものと、さまざまなライフスタイルに対応したおいしさ追求による単価向上を含む。今後、都市型の消費になることによる単価向上も組み合わせ、2022年度には現行に比べて1.3%の単価上昇について実現していこうという考え方である。
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減塩のような付加価値型製品を考えると、スライドにもあったように高所得層が対象であろう。販売チャネルでいけば、どちらかというとトラディショナルトレード(TT)からモダントレード(MT)、Eコマースというシフトだろう。当社はTTに非常に強みを持っていると理解しているが、一方でMTは相対的に課題が残っているのではないか。このあたりのチャネル戦略についてはどのように考えているか。
TTを中心としたチャネル構造であっても、申し上げたいのは生活者自体がこの問題について大きな関心があり、変わってきているということである。中間所得層は既に増えており、これからは緩やかな伸びになっていく。そして高・上位中間所得層が、当社が新興国と呼んでいたところにおいても増えてくる。この層の年増加率が5%あり、大きなマスになっていくということだ。
TTにも当然そのようなお客さまが買いに来られるし、申し上げたいのは生活者に対するメッセージ、マーケティング戦略としてうま味調味料による減塩というものを訴求していくということである。もちろん成長のためにEコマースの拡大やオフィス需要などの新チャネルに対しダイレクトな商品を届けるなどやっていくが、TTで決してこうしたお客さまを捕まえきれないというわけではない。
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2020~2022年度の3年間で300億円規模の収益改善について。単純に3つのセグメントにオーガニック売上高年平均成長率を掛け事業利益を算出するともっと利益の増加は大きくなり、480~490億円ぐらいとみる。その300億円との差額は構造改革で費用が増えるためという理解でよいか。
スライドP36~38の事業別数値では、事業リスクを含んでいないが、P18の収益改善では全社事業リスクを勘案している。
補足だが、収益改善300億円の中身としては、主に売上増および単価増等(プレミアム品構成比増など)によるものが約100億円、コストダウンで約100億円、構造改革に伴う収益アップで約100億円とみている。
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アセットライト化について、今回2025年度まで先に延ばし、1,000億円のほぼ倍の2,000億円をやるとのこと。既に500億円をやっており、次の3年間では1,000億円ということになるが、2023-2025年度で500億円積み増しした背景について教えてほしい。手応えを感じているということかもしれないが、今後どういったところで重点的にアセットライトを取り組んでいこうとしているのかということと、従来の考えで何が積み増しの背景にあるのか。いわゆる検討のプロセスのようなことを教えてもらいたい。
見極め事業の中には、ROAは高いが成長率が低い事業と、ROAは低いが成長率が非常に高い事業が含まれている。今回の追加の500億円のアセットライト化でフェーズⅡの対象となっているのは前者にあるとみている。2022年度の時点では全社のROICが8%の水準になる。それを11~12%、さらには13%超に高めていこうとすると、2022年度にいったん基準がリセットされる。更なる上を目指すには恐らく厳しいのではないかと思われる事業について、アセットが現在500億円程度あるとみたということだ。
(資産を使い過ぎる事業は極力減らしていき、どちらかというと本当にリスクを抑えるようなビジネスモデルを目指していってそれを加速させるという理解でよいか、の問いに)
そのようにご理解いただきたい。ただ、これは成長とのバランスになるわけで、成長のためには人口ボーナスというより構造的に付加価値を上げていくビジネスに変わっていくことが大きな課題であり、これもチャレンジである。その間については、懸念のあるアセットライト化500億円相当のビジネスについてもキャッシュカウとして持ち、フェーズⅡで判断していこうという考え方である。
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スライドの17ページ、冷凍食品のビジネスについて聞きたい。WACC並みのROICを達成するのにあと5年かかるということであるが、アセットライト化をもっと前倒しで進めないといけないし、もっと言えばこれはもうからないビジネスであるということを示しているようなもの。なぜこれほど時間を要するのか。もっと前倒しで利益率を改善する施策があるのではないだろうか。この点について教えてほしい。
ご指摘は大変よく分かる。われわれも議論したポイントである。ただ、冷凍食品のROICの上がり方を図で見ていただくと、現在-0%、2022年度に1%超。そして、これが2025年度に向けて急速に上がる。その後は、この上がるペースで8%を超え、11%が達成できる事業だとみている。ただ、なぜこれほど時間がかかるのかということについては、現状グローバル冷凍食品事業のアセットライト化のかなりの部分が北米の事業再編にかかっている。単にメキシカンやイタリアンをやめることによる縮小均衡の絵を描くだけでなく、アジアンカテゴリーの成長も同時に実現していく戦略。アジアンカテゴリーは非常に成長していて、ヘルシーな冷凍食品をお届けするのに重要だが、生産キャパシティー、アセットが不足している状態。一方で、転換していくための構造改革の最中でもある。さらに買収時ののれんも大きく、他の事業に比べるとどうしてもROICが低くなる。買収した事業の成長がなくては改善できないわけで、そういう状況を踏まえて冷凍食品を重点事業として残すことに決めた。
(北米におけるアセットライト化が中心で、日本の冷凍食品のビジネスについては現状とあまり変わらないということか、の問いに)
全体のウエイトとしては北米が大きいのでそのように申し上げたが、日本の冷凍食品についても、日本に商品を供給している中国やタイの工場は、オペレーションも含めてアセットライト化の対象になっている。
(北米のアジアンカテゴリーがまだ成長していて、ここのキャパシティーが足りないということが絡み、不採算カテゴリーのアセットライト化がスピーディーに進まないということの構造が理解できなかった。もう少しかみ砕いて教えてもらいたい、の問いに)
既存のアジアンカテゴリーが非常に伸びており、ここの安定的なオペレーションも続けながら転換を進めていく。乱暴にやってしまうと、2年ほど前に大変苦労したオペレーションの不安定化を招いてしまい、描いた絵のとおりにならないリスクが大きいと思っている。こういうことを加味しているので、時間をかけてやろうということになった。
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今回の中期経営計画は、前回と比べると味の素グループのあるべき姿、こうなりたいのだということが非常に分かりやすく、前回の中計よりも腹落ちする。いま問われることは本当にこれができるのかという実行力の部分だと思う。例えば、責任を明確にする、目標達成の意識を高めるなど、実行に移す際にスピードを上げ、実行力を高める施策や戦略について、西井社長の中にどういうものがあるか知りたい。
あるべき姿の実現に向けた実行力という部分について、まさにそこが問われる経営になり、組織マネジメントを強化していく。ただ強化するだけではなく、スピーディーにやるために、DXによる業務改革を全社横断で進めている。プレゼンテーションで、これを遂行するための組織の改革と、同時に重点KPIの箇所で従業員エンゲージメントスコア、ASVの自分ごと化について申し上げた。ASVの自分ごと化とは、ASVの実現に向け、一人一人が自律的に行動できている従業員の状態をいう。現在、残念ながら55%だが、これを80%超に向かって上げていく。そうすることが、実行性とスピードのアップにつながる。このような人材マネジメントとモチベーションアップ施策を合わせてやっていく。こういう既存のマネジメントの見直しを全社ベースでやっていくというのが一つである。もう一つは、フェーズⅡにおいて新しいビジネスモデルをつくるということ。これはデジタルイノベーションなくしてはなし得ないが、いわゆるフードテックの進んだ企業等と組み新しいビジネスを立ち上げることによって、当社の今までの食品のオーガニック成長とは違う成長モデルを社内に取り込んでいく。2022年度までに下地をつくり、2023年度から事業化できるようなスピード感覚を持ってやっていきたい。これが大きな変革のポイントである。
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調味料・食品事業について。単価上昇について、そのためには健康機能の付加価値化がキーポイントになると思う。プレゼンテーションの中で、例えば岩手県モデルを横展開するということがあったが、これまでの成功の規模感がよく分からないし、細かいところを言われてもという感じがする。これまでの成功が当社としてどの程度蓄積されているのか確認したい。
まず規模感について、成功モデルは日本にある。日本では、風味調味料に占める減塩商品の比率は5%程度にすぎないが、実は岩手県モデルのような健康訴求のキャンペーンは39都道府県で大規模に展開している。この成果もあって、過去3年国内の調味料・加工食品は売上高平均成長率 1.6%程度で伸ばすことができている。同期間の国内の加工食品業界全体の売上高平均成長率はマイナス1%弱だと思うので、このデルタがわれわれの仕事によって出ている成果だと考えている。
(売上高平均成長率1.6%は、減塩などの商品によるということであるが、基本的には数量効果とはいえ、単価効果もあってここまで押し上げてきた3年間ということでよいか、の問いに)
日本の食品についてもこのところ積極的に単価向上に取り組んでいるので、単価効果も含んだ数字と理解してほしい。
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栄養・食品事業はグローバルの競合も力を入れている領域だと思う。従って、競争は 相当激しくなってくることも考えられる。健康機能の訴求における当社ならではの優 位性についてあらためて教えてほしい。
グローバル企業の栄養・食品事業の戦略と違うところは、当社は調味料、加工食品、冷凍食品という3つのカテゴリーに強みを持っているということだと思う。単純に栄養をプラスする製品領域は激しい競争がある。しかしながら、食習慣の改善ニーズに応える製品領域では、減塩、減糖、減脂、糖質制限食品、あるいは非常に大きくなっているプラントベースの食品は、調味料が役割を果たす。そこに、当社は調味料事業で健康に取り組むアドバンテージを持っている。従って、食事習慣そのものを変えるには調味料、栄養補助食品については栄養加工食品・ヘルスケア製品、都市化に伴う心と体の健康については冷凍食品が役割を果たしていく。業務用ビジネスについてはソリューション&イングリディエンツ事業でこれを補完していくという構造で全体を捉えていただければいいと思う。
(ベースとなっている調味料のところにしっかり健康機能を訴えるものがあり、通常の食から健康機能を訴えることができるのが当社の強みであるということか、の問いに)
食習慣そのものを変えるということについては、調味料が最も有効だと思う。極端にいうと、素材を用いてすべて手作り料理をすると、塩、砂糖を使い、醤油、あるいはローカルの風味調味料を足して、という風に足し算になるため、結果、カロリー、塩分、糖も増える。これを風味調味料あるいはメニュー専用調味料のみで料理ができる、あるいはうま味調味料を使うことによって塩の量を半分にする、といったことを組み合わせると料理全体で減塩や減糖を進めることができる。これが調味料の力だと思っている。従って、ここをきちんと訴求する戦略を取りたいということ。
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スライド7ページ目で、フェーズⅠとフェーズⅡの売上高CAGRは何%なのか教え てもらいたい。これまで、2020~2022年度の3年間はアセットライト化もあり売上高 CAGR1%という説明だったが、今回発表の中期経営計画ではその数字はどうなってい るのか確認したい。
フェーズⅠは4%程度、フェーズⅡは5%程度のCAGRを計画している。中間決算の時点では、見極め事業の成長を一切見ない前提でCAGR1%としたが、今回の計画では一定程度の成長も見ているため、差が出ている。
補足だが、スライド7ページ目のオーガニック成長率は、M&Aは反映しておらず、アセットライト化対象事業のダウンサイズについては考慮している。1,000億円規模のアセットライト化を2022年度までに実行する。これは総資産の7%強で、それに相当する売上高は5%程度同時に無くなるので、 この部分は除いていると考えていただきたい。
(スライド41ページは地域ごとの売上高CAGRが記載されており、これを構成比と併せて計算すると全社の売上高CAGRは2.5%から3%弱になる。これとスライド7ページのCAGR4%との差は何か、の問いに)
スライド7ページでは、2019年度見込について、直近の実績を考慮しているが、41ページでは中間期の修正予想のままで置いている。その差と、小数点以下の四捨五入によるものとご理解いただきたい。
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M&Aやアセットライトの影響が考慮されていなければ、事業利益の規模を把握するのが難しくなる。一方で事業利益は300億円改善されると聞いており、内訳を事業やマーケティング費用の影響、販売数量増の影響など、単価上昇以外の収益改善要因を教えて頂きたい。
スライド23ページにおいて、マーケティング投資の規模を記載しており、事業ごとのトップラインの成長は、スライド36~38ページにも記載している。基本的にはそれをベースに組み合わせて全体像を見てもらいたい。
(スライド36~38ページの事業毎の売上高成長率はアセットライト化の影響を考慮したものか。それとも考慮していないものか、との問いに)
アセットライト化の影響は考慮していない。
(では単純に、起点となる売上高に売上高成長率を掛けてはいけないということか、との問いに)
そのようにご理解いただきたい。
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アセットライト化で7%強の資産がなくなるという説明があったが、それに相当する売上高規模のイメージを教えてほしい。
全社のオーガニック成長率2%や4%という数字で表しているものは、アセットライト化による事業売却等を実行することで、実行した基準年の前年の売上高が非継続事業扱いとなり消去される。前年が消去された売上高に対して、2%成長するという考え方で計画している。アセットライト1,000億円に相当する売上高は、5%程度とお考えいただきたい。従って、2019年度から5%相当の売上高が2020年度、2021年度に減少するものの、それぞれ除いたものが2%や4%の成長率になる構造で計画している。
加えて、売上高5%相当の事業は、ほとんど事業利益に関しては貢献していない。例えば、動物栄養事業のコモディティは赤字事業である。アセットライトによる売上高減少によって、事業利益には全く影響しないか、もしくはポジティブに作用すると考えてほしい。
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オーガニック成長率4%の中に全社で1.3%の単価成長を見込んでいる。一方で、海外コンシューマー製品は2.5%の単価成長率を見込んでいるが、これは海外食品以外の国内食品においても単価成長を織り込んでいるのか。
1.3%の単価成長は基本的にコンシューマー食品が中心になる。その中で最大のドライバーとなるのが、海外コンシューマーである。他の日本食品においても、ある一定の単価成長を想定しているが、単価成長の中心になるのは海外コンシューマーである。
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事業利益率は2022年度に10%とかなり拡大するという前提になっているが、この主要なドライバーは単価成長の部分であると考えてよいのか。収益改善300億円の内訳として単価成長が100億円、コストダウン200億円という説明はあったが、1.3%の単価成長を考慮すると、もう少し単価アップ効果が大きく出るのではないか。
収益改善300億円の内、単価成長100億円は、日本、海外、また海外の中でも調味料、冷凍食品など売上増および単価増等(プレミアム品構成比増など)のいくつかのミックスの中で着実に数字貢献できるものとして100億円を予定している。
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今回フェーズⅡで500億円規模のアセットライト化の対象となる事業は、収益性は高いが、成長率という点で課題が残るという話であった。成長率が課題であれば、競争要因がその背景にあることが想定される。競争環境が年々厳しさを増す中で、課題が見えている事業は、今手を打たなければ修正は難しくなるのではないか、という懸念がある。過去20年を振り返り、マクロ環境の変化に対する適応力に課題があったとの認識だが、今回の中計において、過去の過ちが繰り返されないような進化したシステムが作られているのか、或いは作ろうとしているのか。中計にどのように反映されているか、解説を願いたい。
スライド33ページの成長戦略再構築事業である国内調味料の一部、海外加工食品の一部、飲料の一部について、早く見極めた方が良いという指摘であるが、これら全部で500億円という意味ではなく、この中から500億円規模の追加のアセットライト化の可能性がある、ということである。ただ、これを見極め事業としているのは、食と健康の課題解決という切り口でマーケティング戦略や製品戦略を見直すことで、浮上の可能性があるので非重点事業にはしなかった。事業の見極めについては、毎年のマネジメントサイクルの中で検証し、調整していこうということである。
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2022年度までに、見極め事業を重点事業に格上げできるような施策を考えている中で、想定される水準に満たない場合、止める、止めないという判断をフェーズⅡまで先送りするのではなく、フェーズⅠの段階で前倒して判断していくシステムが今回の中期経営計画の中には入っているのか。
マネジメントサイクルの中で見直していく。マネジメントサイクルは基本的に3カ年で考えているが、業績のギャップについては、年度、四半期、月次でチェックしていくため、浮上の可能性がなければ、決断を早めるというシステムにはなっている。
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スライド17ページについて。セグメントごとROIC目標の記載があるが、考え方として、非重点事業や見極め事業も全て含めた際の数値と理解してよいか。つまり、アセットライト化に伴い無くなる分の利益は考慮していないということでよいか。
No。アセットライト化の影響を含んだ各3セグメントの数値になる。
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冷凍食品事業のROICは、2025年度に5%となり、最終的には11%程度まで引き上がるという話があった。11%に到達するのは2030年のビジョンだと捉えてよいか。また、調味料・食品事業とヘルスケア事業等についても同様に、時間軸でどのような状況になると考えているか、教えていただきたい。
ROICの3カ年ごとの目標についてはスライド17ページに記載のとおり。2030年度全社のROIC13%超に向けて、各事業のROICがいつどのようになるかは現時点ではお伝えをしていない。
(都市型消費のニーズに応えられるのが冷凍食品事業だという話はあったが、全社で見た際、相対的に他事業に比べROICが見劣りしており、コストの負担も比較的重い事業ではないだろうかと思う。冷凍食品事業が果たしていくべき役割を中長期的でどのように考えたらよいか、の問いに)
現在は課題があり構造改革の途上であるが、それについては目途がついたため、2025年度にROIC5%まで回復することができる。その時点で、さらにROICを8%から11%に引き上げていくという、アセットライトや成長の絵が描けているので重点事業に置いた。
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中期経営計画に係るマネジメントのリーダーシップについて。アセットライト化を標榜した時、西井社長のほうから、完遂するまで自身のリーダーシップでやるという発言があった。今回アセットライト化の規模が拡大し期間も長くなるということであるが、やはり一気通貫した自身のリーダーシップを前提に計画を考えているのか。あるいは後継者の育成という観点も同時進行で考えているのか。
スライド 5ページで、組織運営改革について記載をしている。今回の中期経営計画の中で、ビジョンと、それに向けたアセットライト化も含めた変革については取締役会が完全にリードしコミットしている。それを受け社長以下執行の責任者が計画を作った。その意味では、私のサクセッションプランがどうなろうが、取締役会が株主とのお約束の中でこの計画を作ったと考えていただくのが正しいだろう。計画完遂に向け、もちろんCEOとして最大限の力を発揮するつもりであるが、自身の任命権は指名諮問委員会に委ねる形になる。委員会の判断次第でリーダーシップも変わると考えてほしい。
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アセットライト化に伴う売上高7~8%の減少を考慮し、目標事業利益率を掛けると、2022年度の事業利益は2019年度の880億円に300億円を足したレベルになる。事業利益の中に構造改革費用が入るという話があったが、構造改革費用は営業利益にヒットするものであると考えてよいか。また、2020-2022年度の3年間の途中で、構造改革費用がかさむリスクもあるということだった。アップサイド・ダウンサイドシナリオと、構造改革費用の規模感をどの程度で考えればよいかについて教えてほしい。
スライド40ページに示しているように、構造改革費用については2020~2021年度にピークを迎え、2022年度以降は減っていくのではないかと思っている。ただし金額については少し幅がある。特に2021年度については、進めようとしている案件の状況次第で費用の規模が変動するとみている。事業利益の伸長は一時期停滞する可能性もあろうが、親会社の所有者に帰属する当期利益については段階的に増えるとお考えいただきたい。
(構造改革費用は営業利益以下にヒットするものがほとんどという理解でよいか、の問いに)
Yes。事業利益にヒットするものもあるが、営業利益にヒットする割合が大きい。
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今回掲げた目標ROICとWACCは非常に理想的で評価できると思う。ただし、ROICやWACCの考え方が株式市場に完全に浸透しているかというとそうではなく、旧来のPLベースについて確認したい。2022年度の目標事業利益は1,200億円、あるいは1,250億円というイメージでよいか。
PLベースについては、2019年度実績と2020年度予想は5月の決算発表で開示をする予定でおり、現時点で詳細は申し上げられない。ご質問いただいた事業利益の水準は当社が元々2019年度に達成しようと掲げていた水準であるので、一つのメルクマールになっていることは間違いない。従って、計画が3年遅れということになる。
また17-19中期経営計画では「グローバル食品企業トップ10クラス入り」という目標も掲げてきた。今回は、ROIC、つまり資産効率性の観点を今まであまり重視せず事業を拡張してきたという反省に立ち計画を作っている。2022年度の目標ROICが8%というのは、まだトップ10クラスの水準には達していないため、今回の目標から「グローバル食品企業トップ10クラス」は外している。
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2019年度の業績を見ると、あるべき姿に戻っている。事業利益予想は880億円となっているが、中間期に下方修正した段階での数字であり、株式市場はそんなものではないと思っており、着地は期初目標の970億円程度になるのではないかという前提で市場が動いている。一方、当社は880億円をベースにし2022年度の計画を1,200億円前後で出していることになり、発射台の部分で100億円程度のギャップが出ている。これはバッファと考えてよいのか。
数字については現時点ではお答えできないが、今回の中期経営計画は、1月末の時点で業績等をアップデートしたもので発表しているとお考えいただきたい。
(株式市場は、第3四半期決算後、2019年度の着地として事業利益880億円は余裕で達成できるという考え方を持っているが、目線は低くしておいたほうがよいということか、の問いに)
中間期に業績見通しを発表した時点から1月末までの間にかなり状況が動いているため、最新のものを発射台として捉え、それを前提に2022年度、そして2025年度までの道筋を作ったとお考えいただきたい。
(海外コンシューマー食品の単価は2%前後の幅で上昇している。その状況下で、2022年度までの収益改善300億円のうち、単価上昇によるものが100億円というのは少ないのではないか。それも含め、2022年度までに事業利益が上振れする要因があるとすれば何か、あるいは下振れするリスクもあるのか、の問いに)
掲げた目標に対し、余裕でやるということではないが、必ず達成するつもりである。