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早期実現目標として「売り上げ成長率5%でも事業利益10%」を掲げているが、普通の目標だと思う。そもそもなぜ売上が成長しても利益が出ない構造だったのかを説明して欲しい。また、なぜこれでは駄目だと思ってあるべき姿になろうと思ったのかを説明していただきたい。変革の骨子を額面どおり受け取るならば、身を削らないといけないと思うが、それについて差し支えない範囲でコメントを願いたい。
早期実現目標を含んだ変革の骨子を掲載したのは、今、当たり前のことができておらず、2020年に向けてということではなく、早期にこれを実現するためである。これが次の中計の最終年度の目標にならないように早期にやっていこうという決意である。その変化のきっかけについては、今回の業績にも顕れているが、成長分野と位置付けている食品事業において、昨年度はタイの缶コーヒー事業が、本年度は日本の食品事業と北米の冷凍食品事業が厳しい状況となったことにある。この背景には先進国、新興国を問わず、これまでの競争環境ではなくなっており、非常に激しい競争になってきていることがある。この要因の一つには、デジタル化の進展と新興国におけるローカルの競合がある。また、象徴的なのは今回の日本のコーヒーであるが、グローバルビッグとの競争も大変激しくなってきている。従って、我々は強いところに戦略を集中させないと勝ち残っていけない。即ち、非常に強い分野を持っている北米のアジアンカテゴリー、あるいは日本のギョーザやグローバルの調味料に集中する、ということである。これまでも「Fit&Grow」で、主にコモディティ化したバルクの事業については縮小し、減産または他の製品に転換してきたが、食品においてもこれをしっかりやっていかないといけない。ご指摘の「痛みを伴う」ということは当然覚悟しているし、それも含めて当然のこととしてやっていく覚悟である。
(2020年度までに変革をやりきるということか、という問いに)少なくともそういう方向に向かって当社が動き始めたという形は作りたい。従って、半年後になるが、2019年度の見通しについて皆さんに話をする時に、具体的な施策を共有したいと思う。
(かなり激しい内容になるという事なのか、という問いに)激しいものもあれば、そうでないものもあるとしか今は申し上げられない。
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「次期中期経営計画に向けて」のスライドに私の理解できない部分がある。現状の課題の中で、事業領域やアセットが分散している抜本的な問題があるとのことだが、もう少し具体的にかみ砕いて教えてもらいたい。また、北米の冷食で新工場の生産性に課題があるとか、9月から日本人を送ったという話を聞いているが、リスク対応へのスピード感が足りないのではないか。昨年からいろいろな所で問題が起きており、それらへの対応の時間軸が欠けているのではないか。これからメキシカン製品の工場再編をしていく時に、またいろいろな問題が起きるのではないかと思ってしまう。これは北米冷食に限らずだが、リスクへ速やかに対応する仕組みがきちんとできているのか、そのあたりについて確認させて欲しい。
まずアセットが分散しているということについて、一つ事例を挙げる。今、当社グループの冷凍食品は世界25カ所に工場がある。我々はアジアンエスニックカテゴリーにおいて世界ナンバーワンを目指している。また、非常にユニークなデザートというカテゴリーを持っており、これは品質、生産性も含めて世界に誇れるものである。25の工場の中には自分たちで建てた工場もあれば、旧ウィンザーホールディング社やヨーロッパのように買った工場もある。我々の基本的な技術と違うためアジャストして置き換えたり、オペレーションについても日本の改善活動が当たり前になるようなマネジメントシステムに置き換えに一定の時間がかかる。
北米冷食の場合、9カ所ある工場のうち当社が自前で作った工場は1カ所で、買収後に新しく2カ所を造ったが、マネジメントシステムや日本の改善活動を通常に行うようなオペレーションは、人の教育やマネジメントの安定といった観点で時間がかかるところもある。戦略をもっと明確にして、集中して重点領域を決めていかないと、さらにやる事が分散してしまい、本来やるべきところにスピードが集中できない状態になっている。
それを仕上げていくためには、アメリカのマネジメントはアメリカ人にやってもらうのが一番良いが、日本や当社のノウハウをインストールする時に集中力を出して、我々が実際にコミットメントしてやらないといけないということが、旧ウィンザー社の買収でよく分かってきたということだ。9工場あるが、もともとあったポートランドや東洋水産社に資本を20%入れて頂いた冷凍ラーメンは非常にいい工場になってきており、また旧ウィンザー社がもともと持っていたHayward工場には我々のノウハウが入って、アジアンカテゴリーを25%伸ばすことができた。旧ウィンザー社もそういういい例が出てきたので、これを強化していきたいと思っている。同社のトップマネジメントも10月に変えて新しいスタートを切っている。
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次期中計へ向けた内容についてかみ砕いて解釈すると、当社の基本に戻り、強いところをもっと攻めていこうということではないかと思う。その意味では、コーヒービジネスにおいて当社に将来像があるのかどうか。また、北米の冷凍食品では、アジアンカテゴリーに集中するのであれば、イタリアンやメキシカンカテゴリーは思い切って見直すべきではないか。アセットの整理は理解できるが、品目、攻める製品にも今後メスを入れていくのかどうか、社長の意見を聞かせてほしい。
コーヒーはレッドオーシャンの市場になっているため、味の素AGF社とタイ味の素社が持っているアセットとノウハウを機能性栄養飲料・食品に転換していきたいと思っている。しかし一気にやると、せっかく手に入れたアセットとノウハウを無にするので、うまく使わなければならない。もう少し具体的に言うと、当社は機能性栄養食品の分野で、「クノール®」スープやおかゆといったレトルト製品、そして粉末の飲料を日本で販売している。味の素AGF社の製品の中で一番強いのはスティックタイプのコーヒーであり、これはコーヒー・ミルク・砂糖飲料である。クノールが強いポーションもスープであるため、非常によく似ている。技術は同じようなところがあるので、アミノ酸の機能を有したものにしていく。
自社通販で大きく成長している「アミノエール®」や「グリナ®」といった製品もあるが、残念ながらアミノ酸製品とすると各国でレギュレーションが違う為、簡単に国境を飛び越えて行けない。しかし食品の中ではもっとやりようがあると思う。この領域だと分かる新商品を皆さんとできるだけ早く共有できるようにしたい。
また、イタリアンやメキシカンカテゴリーが必要か否かというのは、正にこれから私が先頭に立って考えなければならないテーマであり、北米だけではなく欧州においても同じことが言え、また日本でも無いとは言えないと思っているので、少し時間を頂きたい。これは私のタスクであるので、しっかりと戦略を明確にしていきたい。
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海外の調味料事業について、2018年度上期を見ていると積極的に値上げをしている。それにより利益率も改善しており、利益成長も久しぶりに1桁後半まで来ている。ただ心配なのは、新興国のトップラインの伸長率が1桁台前半に落ちてきていること。この背景は、値上げによるところが大きいのか、もしくはセンティメントの悪化による需要の後退のようなものがあるのか。これから値上げが浸透すれば、トップラインが回復し改めて利益成長を獲得していけるのかどうか。
競争が激しくなってきており、市場もかなり大きくなってきているため、4、5年前の様に113%、115%といった勢いはないと思う。ただ、2桁成長を目指すという観点では、メニュー用調味料や高機能型の製品を加えたりすることでまだ到達可能ではないか。上期は現地通貨ベースで5%の伸長だったが、通期では7%まで持ち上げられると思う。これには値上げの要素もかなり入っているが、ベースを支えている風味調味料の4%成長に、機能型の「AJI-NO-MOTO® PLUS」とメニュー用調味料が乗っているのは間違いない。ここをしっかりやっていけば、調味料の領域において2桁伸長できるようになるのではないかと思っている。補足として、今回Five Starsの中ではタイの売上が予定通り戻ってきている。インドネシアとベトナムは少し遅いが、心配していたフィリピンは上に行っている。ブラジルの伸長率は5%と少し低いように感じるかもしれないが、2018年度からブラジルもIFRS基準でオペレーションを始めたため、売上値引きを売上高から控除する事になった。実質的にはブラジルは10%伸長している。
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インドネシアとベトナムが従来にない低成長であり気になっている。これは値上げの影響で、今後値上げが浸透すれば再び成長が回復するものなのか。或いは実需が停滞している影響なのか。
値上げのインパクトがかなり強いため、以前のように値上げして数カ月ですぐに戻る感じではなくなってきている。これは市場自体がかつてのような大きな成長領域ではなくなってきているということもある。値上げをしたのは「味の素®」、そして風味調味料の「Masako®」や「Aji-ngon®」だが、時間がかかっても値上げが浸透することは間違いない。そうすれば、1桁前半ではなく1桁後半の成長に戻すことはできると思っている。ただし、さらに値上げが必要な製品もある。
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国内食品事業の改革について。今回業績が厳しくなった一番の要因は、競争激化が背景にある中で当社が競争に負け、シェアが落ちてきていることではないかと思う。そもそもなぜ国内食品という当社が最も強い領域でシェアを落としているのか。特に最もシェアを落としたのはから揚げや「ギョーザ」、インスタントコーヒーといった、当社におけるキャッシュカウの部分かと思うが、守らなければならない部分を守れていないというリスクについて伺いたい。また本日のプレゼンで触れた国内食品事業の改革を行うことで、今後どのようにしてシェアを回復基調にしていくのか説明してほしい。
改革については、コアである「クノール®」カップスープや「CookDo®」といったブランドに集中し、付加価値を加えた製品で成長をさせていくと、国内においてもまだシェアを拡大することができるということ。これはトップブランド戦略として最も重要なことだろう。
国内冷凍食品については、2017年度は久しぶりに市場成長率が+4%と戻ってきた。これを大きなチャンスと捉え、製品領域を広げるべく「おにぎり丸®」や「夜九時の一人呑み」などを発売。それ自体は正しい戦略と思っているが、その分、競争が激化した分野へのテコ入れが少し遅れた。2018年の新製品で良かった点としては、「ギョーザ」の分野で「しょうがギョーザ」やファミリーサイズにチャレンジしラインエクステンションを行った。これまで「ギョーザ」単品でNo.1であったが、「ギョーザ」カテゴリーとして非常に上手く拡大出来ている。全く新しい領域に挑戦してはいけないという訳ではないが、主力製品の位置づけを誤ってはいけないと思っている。「ギョーザ」が食事メニューの中で何からシェアを取ってきているのか、まだ購入していない層に買ってもらうにはどうしたらよいかということを繰り返し考えていかなければならない。またギョーザは圧倒的No.1だが、から揚げやチャーハンは違う。チャーハンは2位で、から揚げは業務用と表裏一体のようなところがあり差別化が難しい分野であるため、カテゴリーごとに戦略を組み立てなければならない。その意味で、「ギョーザ」、チャーハン、から揚げについてできることはまだあると思っている。
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国内冷凍食品の価格戦略について。業務用の値上げを11月8日に発表しているが、値上げの理由と、当社主導の形で本当に達成できるのか教えて欲しい。また調味料等、国内食品の他の分野における価格戦略についても触れて欲しい。
今回、業務用製品850品中335品の値上げをする。業務用については見えない形で徐々に価格が上がってきており、他社も2018年の初めから米飯を値上げするなどしている。その中で今回値上げをするのは、当社が強いデザート類や完全に説明がつく製品のみであり、競争の激しい米飯や鶏肉加工品については値上げの対象から外している。そのため競争環境についてはあまり心配していない。
冷凍食品は原材料価格高騰の影響を受けているが、他の家庭用の調味料・加工食品については現在のところ、為替や原材料価格の面でもまだ値上げを行う環境にない。状況が変われば対応せざるを得ないと思うが、足元では予定をしていない。
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国内冷凍食品について。業務用の価格改定を発表し、値上げ幅は出荷価格の2~10%とのことだが、当社の業績において何%の値上げ効果が見込めるか。また本値上げ計画は2018年度下期の計画に織り込み済みか。下期は対前年+4.4%の増収計画とのことだが、内半分は値上げによるものではないか。
具体的に何%という数字は申し上げにくいが、年間約10億円弱のプラス影響になるのではないかと思っている。価格改定は2019年3月出荷分からであり、2月に仮需が予想されるため、2018年度の実績となる3月の影響は大きくないだろう。
(値上げ前の仮需の影響も下期計画に織り込み済みという認識で好いか、の問いに)今回の値上げのタイミングについて、12月は顧客に価格改定が受け入れられる状況ではないということ、また消費税増税前のタイミングということで、3~4月が価格改定のタイミングとして最適と思っている。確かに2月には仮需が発生すると思われるが、その分3月の売上は少なくなることが予想され、2月と3月の売上を足すと値上げ前と変わらないという感じである。
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ニューヨークでの「World Umami Forum」について、壮大なプロジェクトという印象。グルタミン酸ナトリウム(MSG)に対する誤解が溶け、MSGへの理解が浸透していく中で、当社業績にどのような影響があるか。例えば、「AJI-NO-MOTO® PLUS」の伸長率が上がる、北米の冷凍食品にMSGを入れられるようになる、競合の日用品生産企業におけるMSGの採用率が上がるなど。また、株式市場から見て、業績影響の発現が分かるタイミングはいつ頃と考えているか。
コミュニケーション戦略を2年間かけて作り上げた。ご質問の経済効果についてはコメントできない。
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アセットライト経営について、コンセプトを教えて欲しい。どのような観点で進めるのか。また成功した際のインパクトとしては、ROEの向上なのか、あるいは会社全体の構造が変わるという話なのか。
全ては申し上げられないが、グループのフルバリューチェーンの中でアセットライトを経営の軸にしていこうという試みであり、マグニチュードは大きいと思っている。本日は経営メンバーで共有できている例、冷凍食品事業、コーポレート機能、味の素AGF社の機能性飲料分野での挑戦、という点のみ触れた。
(ヒントを頂きたい。例えば動物栄養事業など生産についてはアウトソースを活用している。今後、食品事業でも生産をアウトソースしアセットを軽くしていくということが起こり得るか、の問いに)全ての可能性は否定しない。ただし、BtoBビジネスとBtoCビジネスは位置づけが違うと思っている。バルク事業についてはご指摘のとおりだが、BtoCビジネスでは、ブランドに直結する品質管理の問題があるため、切り分けて考える必要があると思っている。
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2018年度第2四半期では、電子材料が業績に貢献している。売上で100億円を超える規模であり、事業利益率は3割を超えている。最近、他社が大型投資を発表しており、当社も投資をする機会がいずれ来るのではないかと思っている。するとアセットライト経営とは逆行するが、その点をどのように考えているか。
ご懸念には及ばない。電子材料事業は開発サービス型の事業になっており、自社工場のアセットが課題になっているわけではない。アセットライト経営の中では大変優等生的な事業になっていると言える。
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2018年度海外冷凍食品の事業利益予想を▲31億円下方修正しているが、その内物流費由来がどの程度含まれているのか。また、2019年度の事業利益率はどの程度をイメージしておけばよいか。
修正額の大半は北米冷凍食品。▲31億円の内訳は、生産要因と物流費要因に分けられる。概ね半々と理解してもらいたい。生産については、足元成功例も出てきており、何とか2018年第4四半期には、計画している予算ベースの事業利益が出るようにしたい。第4四半期の初めからとはいかないかもしれないが、1月、2月、3月と徐々に予算に近づく構造となるよう努力しているところである。物流費上昇分は、吸収すべく第2弾の値上げまで動いている。第2弾はカンフル剤の位置づけ。物流体制をどの様に合理化するかについて絵は描けていない。現在、プロフェッショナルな診断をしている最中であり、改めて説明の機会を持ちたい。
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次期中計の骨子として掲げている「アセットライト経営への転換」および「コンシューマー食品事業の戦略統合」について、足元競争環境が激化する中、アセットライトしながらも、残り事業でトップラインを伸ばしていかなければならない。機能性食品や飲料を統合するという戦略で果たして成長する事ができるのかについて確信が持ちにくい。成長という部分が次期中計でどの程度思い切って出てくるのか、具体的に教えて欲しい。また、アセットライト経営を実行する際、統廃合する最初の段階で設備投資はどの程度掛かってくるのか。次期中計の投資水準についてもご示唆願いたい。
海外食品の成長を持ち上げるのは、当社シェア№1の調味料と冷凍食品のアジアンカテゴリー。ここに最優先で取り組んでいく。栄養領域は挑戦だと思っている。投資については、本中計では計2,300億円を計画しマネジメント出来ている事から、次期中計は少し挑戦するかたちとなるだろう。現在は約60%が増産や成長分野への投資、約40%はメンテナンスに係るものとなっている。当社の営業キャッシュフローは1年間で約1,200億円内外だと考えると、もっと成長投資の比率を上げ、7割程度にしていかないといけないだろう。一方で、川崎と東海工場の国内再編によって新たな投資が発生するため、バランスを組み立て直して、共有させて頂ければと思う。
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動物栄養事業について、2018年度下期はスレオニンの販売単価下落により大幅減益を見込んでいる。OEMを開始し始めている様だが、やはり販売単価下落に耐えられないのかと見えてしまう。OEMの進捗状況について、詳細を教えて欲しい。
動物栄養事業は全社に占めるウエイトが小さくなっている。2018年度上期の事業利益は10億円、下期も同水準を計画している。但し、上期の事業構造とは異なる。OEMについては、主なマーケットを欧州・南米と考えているが、DNAの不活化という観点で当社の品質に合わせてもらうために品質改良に時間が掛かっており、第3四半期から本格的に販売開始を予定している。よって、上期はOEMの貢献が殆んど無かった。加えて、2018年5月にリジンの自社工場を閉鎖した影響により減収となった。一方で事業利益は、トリプトファンが大きく貢献、スペシャリティも着実に貢献し増益となった。下期はOEMの販売が開始されることで、徐々に減収幅が縮小してくるだろう。事業利益もOEMが出てくることと、トリプトファンの利益を食っていたコモディティが第3四半期から来年度にかけて縮小してくる。これでトリプトファンの販売単価ダウンの部分を飲み込む、損切りができる構造になって着実に利益が出る構造へと向かっていくだろう。スペシャリティは順調に拡大している。
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アセットライト経営に向けて今後スケールダウンしていくという事だが、素早くスケールダウンをした時に、我々は短期的な収益についてどの位ダメージを覚悟しておくべきなのか。
経営戦略の変更について、昨日社内に共有したばかりである。今日の皆様とのやり取りの中で一部事業について、私の課題認識を伝えたが、これが具体的なタスクとしてスタートしている訳では無い。従って、何時これらが利益にヒ ットするのか、インパクトはどれ位かという計算はこれからとなる。
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今後、固定費をスリム化するという事は相当な覚悟が必要だと思う。その点について、社長の思いを聞かせて欲しい。
グローバル食品トップ10クラスでの持続的成長、という実現したい姿を変更するつもりは全く無い。この実現の時期と体制を整える事が私の経営責任だと思っている。強い決意を持っている。
(この様な変革は当社の中でも重い取り組みになるだろう。他社では変革人材の登用を行い、社内の人もかなり柔軟に動かしているケースが多く見られる。キーマネジメントの獲得と入れ替えの戦略の方向性について教えて欲しい、という問いに)現在は特に計画はないがあらゆる可能性は否定しない。但し、マネジメントの事例を挙げると、欧州のアスパルテームの生産工場の売却、医薬の合弁化、動物栄養事業のブラジルにおけるオペレーションの縮小など、これらは全て当社の現経営幹部が取り組んできた。このような基本的な考え方を共有できる強い企業風土を持ったグループだと思っている。あと必要なのは、リーダーシップであろう。それが継続できれば変革は可能だと思う。
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北米の冷凍食品のマネジメントについて、前社長はトップライン成長に寄与し、新しい社長は構造改革面で強みを持っているという話であった。この人財登用によって、今後トップライン成長が鈍化するリスクは無いか。
アジアンカテゴリーは既に当社がトップブランドとなっている。北米の冷凍食品全体の市場が飽和している中、アジアンカテゴリーが25%成長しているのは大きな成功と捉えている。ここに生産の安定化を恒常的に出来るようにカイゼン文化を根付かせている最中である。これには、今までのCEOとは違うリーダーシップが必要となる。従って、今回のような人財登用を行った。また当社メンバー、味の素冷凍食品社のメンバーは生産安定化について強いノウハウを持っている。それらも人財も登用を進めている。よって着実に売上高が伸長しているところから崩れるとは想定していない。
(2018年4月から値上げを実施していると聞いたが2018年上期はどの程度効果があったのか、との問いに)主にアジアンカテゴリーを2~3%値上げしたが、物流費の高騰が値上げを上回ってしまった。採算が更に悪化するという構造になっている。