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2020年度のガイダンスの事業利益についてお伺いしたい。COVID-19の影響はよく分かったが、COVID-19影響を除いたベースだと実質的に18億円の事業利益増益に留まるということで、少し物足りないと感じている。為替や原燃料の影響等も含まれていると思うが、COVID-19影響を除くベースで事業利益の計画をどのように立てられているのか。また対中期経営計画(以下、中計)だと、COVID-19影響を除いた事業利益計画ではオントラックなのか。
COVID-19影響を除いても、2020年度の事業利益の伸びがあまり大きくないという点だが、中計で発表したように、もともと2020年度から2021年度にかけてはアセットライト化ということで、2019年度に赤字になっている非重点事業の縮小・撤退を計画していた。3月25日開催のIR-Dayでアミノサイエンス事業本部長から申し上げたように、非常に力強く推進していたとろに、COVID-19が発生し、このプロセスを現状6カ月程度は凍結せざるを得ない状況になった。COVID-19による販売への直接的な影響とは違うが、赤字事業の縮小が、もともと2020年度からの計画に入っていたため、実行できなくなっている要素が非常に大きい。
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東南アジアでは日本よりもいち早く緊急事態が緩和されつつあると認識している。まだ早いかもしれないが、改めて今の東南アジアの状況が、先行事例としてどのようになっているのか教えて欲しい。その中で当社ビジネスにとってポジティブな点、ネガティブな点を、ポストCOVID-19を占うためのヒントとしていただきたい。
東南アジアの状況だが、ポジティブな要素としては、特にベトナムは非常に回復が早く、死亡者もゼロである。本日、直前に確認したが、ベトナムの方は外出もするようになり、外食店も復活してきているということである。それ以外の国については、フィリピンもまだ都市閉鎖が厳しい状況であるし、タイは緩和されてきたとはいえ、特に観光客や、日常の生活の中に入り込んでいる外食がどの程度戻るかについては、まだ不透明な状況だと考えている。ポジティブなところではベトナムで、それ以外のところについてはかなり慎重な回復になるのではないか。
補足だが、製品別に見てポジティブな点は、メニュー用調味料がインドネシア、ベトナム、もちろんタイもかなり大きく成長しており、この利便性とおいしさを生活者の方に伝える大変良い機会になっていること。ネガティブな点は、緩やかに状況は緩和しているものの、特にタイ経済は外国人観光客にかなり依存しており、ここがいつ回復するかというのが問題になってくると思う。他国よりは早いとは思うが、おそらく通常の状態に戻るのに一年くらいかかると思う。特に外食向けの製品が影響を受けると見ている。
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COVID-19影響を除いて、2020年度予想における増益幅が少なかった理由としては、不採算ビジネスのカットのタイミングが遅れていることと、値上げ等々のアクションができず遅れていること、という理解でよいか。
値上げの遅れは、COVID-19の影響を受けていると捉えている。非重点事業についての取り組みは、物理的に感染が拡大している最中は全く動けない状態。よって、この部分は、実行できない前提で2020年度の計画に織り込まれている。中計では2020年度から2021年度に実行と申し上げていたが、実行の遅れにより、2020年度のオリジナル予算からは、赤字事業が残る形となり引き下げ要因となる。
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販売単価の引き上げの手段が今のところ遅れているのは理解しているが、今後取り戻すことが可能なのか。健康に対する意識が高まる一方で、節約志向も同時に高まるような気もするが、その環境下できちんと販売単価を上げていくことが可能だと現時点では考えているのか。
現時点で見込みの中に入れられていないので、ご懸念の点はもっともだと思う。基本的にユニットプライスを上げていくというのは2つの要素から構成される。1つは、ユニットプライスの高いメニュー用調味料のような製品で、製品ミックスを変えていくこと。もう1つは、健康を軸に製品改訂時に値上げの要素を織り込んでいくことである。1つ目については、健康志向や内食需要拡大が、われわれにとって追い風のような要素になっている。2つ目については、製品改訂作業の遅延に伴う、発売の遅れの可能性があるが、しっかりと実行していく。
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2019年度第4四半期は、国内においてそれなりに内食需要も出たと思うが、他社とは少し違って、販促費も出てしまい増収減益という形だった。この要因は何か。当社の決算説明会資料によれば、海外の調味料・食品は外食向けの構成比はかなり小さくて10%以下。COVID-19の影響は主に外食だと思うが、それにもかかわらず、アジアと米州において2020年度はかなり大きな減収を見込んでいる。主要国でよいので、為替要因と為替中立のファンダメンタルの部分で説明していただきたい。
2019年度第4四半期については、COVID-19影響が2020年2月後半から入っている。事業利益については若干伸び悩んだ。2020年度については、COVID-19により、経済活動が制約を受ける点と、もう1つはこれによって経済が低迷するという2点がある。前者についてだが、東南アジアでわれわれがリテール商品と謳っている割合が高いにもかかわらず、なぜ業績が下がるのか、その背景をご説明したい。特に「味の素®」、風味調味料のうち、大容量品は市場の中の屋台などで使われている部分が多いので、リテールと言っている商品の中にも、広い意味では外食で使われている部分が多い。後者についてだが、今後経済の悪化が影響として大きく出てくる。失業率の増加、あるいはインバウンドが低下したままで続くということを含めて、主要国のGDPの低下を見込んで業績予測を作っているので、そのようなものを反映したものになっている。
(リアルな業務用途の構成比は、3割ぐらいと考えていたほうがよいのか、との問いに)
正確な数字は掴んでいないが、3割ぐらいはあると思う。補足すると、業務用として売っている製品は基礎調味料や風味調味料など、海外では利益率の高いものを販売しているので、この辺が少しずれると、業績に対するインパクトも大きく影響する。
(同様に、ブラジルも見ているということか。ブラジルの減収率は為替の影響でさらに大きいが、リアルな業務用の構成比も大きくてマクロリスクもあるため、アジアの2倍ぐらい減収を予想しているということか、との問いに)
そう考えていただいて結構だ。
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2021年度のV字回復について自信があるというコメントがあったが、このV字回復というのはどこから来ると現時点で想定されているのか。減損の効果なのか。
経済全体の戻り方だが、われわれのシナリオではU字型の回復を前提に組み立てている。このU字型の回復の中で、われわれが強化をしようとしている食品の健康訴求の部分とヘルスケアの事業というコア事業については、徐々に需要を取り戻していけるだろう。つまり外出制限等の活動規制によって十分な戦略展開ができない状態から、早く脱出することが可能ではないかと思い、今回の2020年度の業績予想を底として21年度に回復させていくという観点で、V字という表現をした。
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中小規模でつぶれてしまう外食企業は結構あると思う。インバウンドの戻り方もかなり緩やかなので、タイはCOVID-19前の状態に戻るのに1年以上時間がかかってもおかしくないと思う。その辺りはどう見ているのか。
スライドの6ページ目にある、2020年度の業績予想に反映した要素では、特に国・地域間の移動制限による観光客需要の減少、が最も長期的に続くと考えている。5月25日現在でも、どの程度のスピードで戻るかというのは諸説あり、非常に見通しにくいところであるが、先ほど申し上げたように、1年程度戻らないということを前提に考えている。したがって、ご指摘の小売業の淘汰についてはある意味で集約化が起こるであろうし、観光客の需要減による影響については、内需を中心とした伸びる分野でカバーしていきたいと思う。
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アフターコロナ、ウィズコロナの環境下において、先ほど健康系の食品などが非常に伸びているという話があったが、当社の製品がフィットすると思う。一方でECや宅配が非常に伸びていくので、そこに対応していきたいという話があり、その具体的な中身をもう少し教えていただきたい。また当社の場合、海外ではダイレクトセールスという非常に強い営業力を持っている。今後経済が回復していく中で、例えば店頭において競合品よりも当社製品の露出を高められるなど、アフターコロナの中で強みになることがあれば教えてほしい。
始めにEコマースについての重点化の考え方を申し上げたい。Eコマースはいろいろな会社が出店できるが、われわれがなすべきことは、生活者や外食のユーザーに対して、いかにサービスを付加できるかいうことである。例えば当社のホームページに“AJINOMOTO PARK”というサイトがあるが、ここに今後ウィズコロナ、アフターコロナの中で、お客様が求める分かりやすい情報を提供し、そこから購入サイトに入っていただくということ。また、単に製品を売るということではなく、他社と協業して、例えば生鮮品と一緒に製品をお届けするような、他社にないサービスを展開していくことが重要だと思う。いかに製品を売るかということではなく、生活者、ユーザーの方に対する情報や生活のサポートができて、初めてこのマーケットで存在感を示すことができると考えている。
海外のダイレクトセールスは、生活者やリテーラーの店主に直接情報を提供することができるという、非常に大きなメリットがある。当社のセールスマンが、様々な有用な情報を提供して、生活者に「やっぱりお店で買うと、いろいろなことを教わっていいよね」と感じていただくことが重要。当社が競合他社より先に丁寧に情報を伝えていき、プレゼンスを高めていくことで、このような環境下でも生活者のお店に対する信頼がむしろプラスに働くのではないかと考えている。
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アセットライト化のプロセスが、今中断されていて遅れるというリスクについて言及いただいた。アセットライト化の対象になっている、動物栄養やアメリカの一部の冷凍食品工場が、今回のCOVID-19を機にパートナーにとって重要度が落ち、結果的に当社のアセットライト化が進まないというリスクはないのか。その点を教えてほしい。
確かに、最低6カ月は凍結せざるを得ない状況だと思う。現実的にマーケットは動いていない。しかし一方で、動物栄養については、おそらくアフターコロナに向かって、ビジネス環境は決してネガティブなことばかりでもないと思う。つまり、グローバルなサプライチェーンの観点で、一定の揺り戻しがあるのではないかと考えている。冷凍食品に関しては主に北米やアジアが対象であるが、カテゴリーのシフトを伴うアセットの組み替えが中心であるとともに、基本的には成長産業なので、あまり心配していない。
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アセットライト化の点で確認だが、動物栄養は競合の拠点が中国一局集中なので、ビジネスパートナーからみれば、リスク分散のために、むしろ供給先を増やす動きが出て、このビジネスの価値自体が高まる可能性があるということか。
パートナーがどのように考えるかというのは具体的に引き出せているわけではない。ただし、混乱を機に顧客のサプライチェーンへの考え方が変わることで、このCOVID-19による環境の変化が決してネガティブな要素ばかりではないと考えている。一般的な話しとしてご理解いただきたい。
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2019年度に不調だった動物栄養事業と好調だった加工用うま味調味料の事業について、2020年度予想では環境についてどのような前提を置き、どのような計画をされているのか。またアセットライト化の計画は6ヵ月程度凍結とのことだが、それによる2020年度の影響を教えて欲しい。
2020年度の動物栄養事業に関しての業績予想は、プラスもマイナスも織り交ざった状況である。現状、ベースとしてアフリカ豚コレラの問題があり、その影響が特に価格面でマイナス影響を及ぼしている。ただし過去2~3カ月間を見ると、中国からの物流が影響を受け、価格面での変動が見られている。よって、FY19と比較するとFY20の利益率が高まると考えている。
(基本的には、2020年度動物栄養事業は増益予想という理解でよいか、との問いに)
Yes。
加工用うま味調味料の見通しであるが、これには2つの要素がある。1つは核酸系調味料で、2019年度は世界的に需給が逼迫し値上がりした。現在、国際マーケットは緩やかに価格が下がっており、2020年度は年間を通じて収益に影響が出ると思う。もう1つは、当社の技術でうま味調味料全体のコストを下げているので、この部分は維持できる。むしろコストダウンが拡大する方向にしたいと考えている。
(加工用うま味調味料は調味料・食品の調味料に含まれているか、との問いに)。
新セグメントではソリューション&イングリディエンツに含まれている。
(ソリューション&イングリディエンツの2020年度の事業利益予想は、対前年▲9億円という理解でよいか、との問いに)
Yes。
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アジアの調味料・食品について、2020年度予想を見ると減収幅は大きい印象。タイの直近の状況を教えていただきたい。例えば直近4月、5月について中国人観光客の減少や経済の停滞により、どの程度落ち込んでいるのか。
タイの4月~5月半ばくらいまでの状況であるが、主力の「味の素®」と風味調味料の製品は大体2割程度落ちている。缶コーヒーの「Birdy®」も、国内の人の移動が無くなっており、10%程度落ちている。
(アジアの売上高は大きく減収の前提になっているが、タイでは4~5月のトレンドが1年間続くという前提という理解で好いか、との問いに)
第1四半期については大きな影響が出ると見ているが、2021年3月に向かって緩やかに回復するという前提に立っている。ただし、タイについてはインバウンド需要が大きいので、2021年3月までに100%戻る計画とはしていない。
(対前年で減収率とマイナス影響は少しずつ改善されるが、年間累計でも減収になるということか、との問いに)
タイについてはそういう見込みを立てている。
(FY19はベトナムの業績は厳しかったが、FY20は業績が良いと聞いている。良いというレベル感を教えていただきたい、との問いに)
2019年4月は業績が悪かったが、その実績と2020年4月はほぼ同程度であった。2020年5月の決算の数字が確定したわけではないが、前年よりは上向いている。それはベトナムのロックダウンが4月中に解除されているので、経済活動がほぼ通常に戻ってきている影響だと思う。
(減塩の取組みやコミュニケーションの成果等は、今後ASEANのオーガニック成長を見ていけば好いということか、との問いに)
Yes。
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北米の冷凍食品事業について。足元の家庭用の需要増に対して機会ロスが発生しているということだが、例えば業務用のラインで家庭用の需要増に対応するということは不可能なのか。海外冷凍食品のサプライチェーン改革について、今回のCOVID-19がどのように影響するのか教えてほしい。
北米で家庭用製品を作るために業務用ラインを活用できないかということだが、製品が違うので、一部例外はあるにしても基本的に非常に難しいとご理解いただきたい。
生産要員やオペレーター等の配置については、家庭用を厚くして業務用を薄くしていくという対応はできる限りして、家庭用の増産につなげている。ただし家庭用の需要が高まっている中で、当社のリスクシナリオでは、北米は第2波も来ると想定しており、どうしても生産キャパシティの問題はある。構造改革を進める中で、特にアジアンの生産強化を準備しているが、それは2020年度第4四半期からスタートするものでありすぐには増産対応ができないというのが実態である。
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国内のコーヒー事業は2019年度第4四半期に少し良い兆しが出てきているが、このビジネスはアフターコロナ、ウィズコロナの中で、今後変化が出てくると感じている部分があるか。
コーヒーは、日本国内においては巣ごもりや在宅勤務の影響により、パーソナル用のコーヒーが大変好調である。多少の変動はあるが、この傾向は年間を通して続くと予想しており、味の素AGF社については良い業績が上げられるという見通しを立てている。
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FY20業績予想をCOVID-19の影響を除いて考えると、為替中立ベースで見て、5%増収、4%増益という計画になっていると思う。既存の事業の中で、どのあたりを自信のある事業と考えているか教えていただきたい。
新型コロナウイルス感染症の影響を除くと調味料・食品については、106%ぐらいの成長率を考えている。冷凍食品については、特に北米での構造改革が一部進むため、売上高の減少部分もあり100%となっている。ヘルスケア等については110%と非常に高い予定を立てている。主にアミノ酸や化成品で伸ばす計画にしている。
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動物栄養事業のアセットライト化の進捗が遅れているということだが、これがどの程度業績予想に影響しているのか。動物栄養事業がなかったら、2020年度の売上高成長率+5%(COVID-19および為替影響なかりせば)が何%になるのかという数字を掴みたい。
動物栄養事業の増収額をほぼ2桁で見ている。それを除くと、例えばアミノ酸やバイオファーマサービスなどで、+10%を少し切る程度の成長率。
全体から言うと、動物栄養事業は利益面ではスペシャリティも貢献してくれているが、売上高構成比は5%程度である。アセットライト化を実行していく中で、これが連結からなくなる可能性があるが、今回は凍結ということ。よってこの要素は、今回の業績予想の中に入れることができていない、と捉えていただきたい。
(2019年度、2020年度ともに動物栄養事業を除いて考えた際、全社の売上高は横ばいということか、との問いに)
No。+5%である。
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海外食品を中心に、健康志向へ対応すべく製品のプレミアム化を進めていく戦略については理解している。ただしCOVID-19により環境が変わっていく中で、やはりデフレマインドが出てくると思う。その中で、プレミアム化の戦略も重要だと思うが、値ごろ感のある製品を上手くレバレッジを効かせ、シェアアップにつなげていくような柔軟な戦略は、今期の業績予想の中には織り込まれていないのか。従来の当社は、周りの環境変化に比較的鈍感で、社内で作った予算に向けて数字を作り上げるという、内向きの行動に出がちだという印象がある。考え方を教えてほしい。
スライドの6ページ目にあるが、業績予想に反映することができなかった不透明な影響の中で、デフレ圧力がどの程度強まっていくのかという点については、非常に見通しにくい要素だと思う。
その中で、外食産業を中心に淘汰が起きると考えている。アフターコロナに向かって、ソーシャルディスタンスが必要という点から、1人当たりの単価を上げていかなければならなくなるだろうと見ている。そういう面では、デフレマインドが浸透し生活者の財布の紐が締まるということと、単価を上げないと事業を継続できない外食産業と、この2つの綱引きがこれから起きると思う。その中でどうわれわれが勝ち抜いて行くかという観点で、現場レベルで情報を取り、現場の判断に委ねながら、しっかりやっていかなければいけないという考えである。
ただし、健康軸の製品やメニュー用調味料などが伸び、製品ミックスでプレミアム化を進めていくというトレンドについては生きていると思う。この辺りを、今後四半期ごとに明らかにしていきたいと考えている。
(既存のメインストリームの価格帯で当社がシェアアップを取れるような方策は、今のところ見えないということか、との問いに)
結果的にシェアアップにつながるということはあるが、これを追求しすぎるとディスカウントのほうに流れていく要素もあるので、慎重に判断していきたいと思う。
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アフリカの状況は今後かなり厳しくなっていくと想像される中、当社が今後3年間で予定しているアセットライト化約1,000億円のなかにも、一部減損損失が入っているのではないかと思っている。今のCOVID-19禍で、新たな減損リスクはこの1,000億円の中で吸収されるようなものなのか。
大変ご心配をおかけしている。アフリカのビジネスについてはプロマシドール社とのJVであるが、過去2回、大きな減損損失を計上している。
プロマシドール社の商標権については、すでに前回の減損以降、償却を開始している。もちろん収益性等をしっかりと見ていく必要はあるが、基本的にリスクは少なくなっていると思う。
他の部分でリスクはないのかとご懸念があると思うが、1つ注意深く見ていかなければならないのが、北米のバイオファーマサービス事業である。COVID-19の影響により顧客の開発が若干遅れ、それによって出荷が遅れるという現象が起きている。今後そのようなことが長期的に収益に影響を及ぼすのかどうかについて、見ていかないといけないと思っている。それ以外に現時点で把握している大きなリスクはない。
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当社のコストコントロールについて。2019年度第4四半期を見てもそうだが、増収減益はあっても減収増益はない。業績予想では、例えば海外の調味料に与えるCOVID-19影響を見ると、売上が落ちると限界利益の4割がそのまま落ちるような見立てに映る。しかし実際は、コストコントロールを効かせられる部分もあるのではないかと思う。なぜ2019年度第4四半期の実績で、コストコントロールが効いていないように見えてしまったのか。また2020年度の特に海外の調味料・食品の計画の中に、コストの前提はどのように入れているのか。コストマネジメントについての今後の考え方もご示唆いただきたい。
2020年度の業績予想において、COVID-19の影響については、全て売上高と売上原価のところで影響を見ている。従って、その下の販売費や経費の調整はこれからになる。今後COVID-19の影響を四半期毎にアップデートしていく中で、どこかできちんと構造に当てはめてご説明できるようにしたいと思っている。
(第4四半期の実績について、完全にはコストコントールが効いているように見えない。新体制になり、この混乱の中でもコントロールは強化していけるのか、イニシアチブの在り方などを補足いただきたい、との問いに)
第4四半期では急激な環境の変化が起きた。新中計で掲げた食と健康の課題解決に踏み出して行く中で、元々第4四半期からアクセルを踏み、マーケティング投資を行っていく計画で動き始めていた。これに対して急ブレーキをかけることは非常に難しい。既に広告は準備できており、それらの費用が先に発生したこともあって、ギャップが起きてしまったと捉えている。
2020年度については、ご指摘の要素もあると思うのできちんとやっていきたい。今の環境下で効率的な働き方が出来ている部分もあり、コストセービングの効果も今後出てくるのではないかと思う。
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20-22中計の着地として、1,100億円から1,200億円の事業利益を計画していると推測している。2020年度の事業利益が800億円くらいだと仮に置くと、そこから2022年度の事業利益目標を達成するためにどのような施策が必要なのか。また、この状況下で、まだ中計の目標達成をあきらめていない理由もご解説いただきたい。
表現は非常に難しいが、われわれのビジョンを実現するために、今の環境はある意味大きなチャンスでもあると思っている。当社が独自にリテラシーを高める食育を行うよりも、COVID-19の影響を通じて、栄養不良がもたらす健康への悪影響などに対して世界の認識がかなり高まるのではないか。これを踏み台として積み上げていくようなマーケット環境になってきたと思う。不謹慎な発言に聞こえたらお許しいただきたい。
もともと20-22中計で構造改革を実現していく中には、構造改革によってネガティブインパクトを払拭する要素も大きく入っている。今回6か月~1年という凍結期間があるものの、決してあきらめたわけではなく必ず実現したいと思っている。
また変革の観点で、今の環境下ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を一気に進められるチャンスにもなっていると思う。これに伴う生産性向上とコストダウンについてはしっかり進めていきたい。したがって、2022年度の目標は変えずにやっていく。
V字回復とお伝えしたが、2020年度に見込んだCOVID-19による約▲230億円の影響を、本当に2021年度で全て取り戻し、さらに2022年に向かって積み上げられるかというところは、正直に申し上げて見通せないところもある。ただしチャンスはあると思っており、ここでしっかりと踏み台を作ってその先に届くよう頑張っていきたい。
(2020年度の事業利益は約800億円だと仮定すると、2021年度は約900~1,000億円、2022年度で約1,100~1,200億円は可能ということか、との問いに)
そこにはアセットライト化によって赤字事業がなくなる要素は入っていないと思うので、インサイトを取っていただければと思う。