※赤字:7月30日の回答より訂正。
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海外の事業状況についてお伺いしたい。COVID-19の感染者が増えているブラジルやインドネシア、ペルー、米国などで、第1四半期の売上のマイナス影響が想定ほど大きくないのであれば、第2四半期以降はお示しいただいた予想ほど悲観的になることはないのではないか。足元の状況を含めて説明してほしい。
インドネシア、ブラジルなどでは、もともと自宅で調理する傾向が高いが、COVID-19の影響でそれが顕著に高まった状況がみられた。商品ごとに見ていくと、インドネシアでは「味の素®」は対前年90%程度に留まるも、風味調味料やメニュー調味料の伸びが高く、結果としてインドネシア全体では対前年110%となった。一方で、今後は経済へのマイナス影響が高まる傾向にあるとみており、節約志向の高まりや、失業率上昇、所得減少などの影響が顕在化してくると思われる。また、地方で感染が広がりコミュニティ単位でロックダウンが実施され、TTチャネルの営業活動が制限される地域が徐々に増えてきている。その分、MTは増えているが、インドネシアは地方ではTTチャネルでの販売がメインなので、このような影響を慎重に見ざるを得ない。ブラジルも同様で、風味調味料はLCベース売上では昨年の値上げ効果もあり前年を上回るも、数量ベースでは前年を下回っている。これら状況を踏まえると保守的に見ざるを得ないと考えている。
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米国の冷凍食品でリテール販売が好調とのことだが、期首の説明ではアジアン製品はキャパシティに限界がありそれほど伸ばせないとの話だった。どのような変化があったのか。また、物流費が効率化で抑制できたとの説明であったが、サプライチェーン改善の取り組み効果が出てきているのか。
昨年から進めてきた物流改善の取り組みは、一部に鉄道利用を導入するなど着実に進めている。生産についてはCOVID-19状況下でもなんとか継続できているが、生産キャパシティの限界に近づいてきているのも事実で、実際はかなり在庫が減っている状況にある。米国では他社でCOVID-19感染が広がったために生産停止した影響で、当社に引き合いが来ている状況もあるが、この環境下で新たな顧客への浸透がかなり進み、またリピート率も高まってきているので、この流れをしっかりと捉えていきたい。
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タイは5月頃に政府方針で生活必需品の値下げ要請があったようだが、足元の状況はどうか。
改めて確認したところ、政府の要請は主に流通に対するもので、当社は要請を受けておらず、値下げもしていないことが分かった。ただし、非常事態宣言は7月末まで延長されていて、外食店は営業されているも入店制限(席数50%に制限)もあり、風味調味料は数量ベースで対前年一割程度の減となるなど、徐々に回復傾向にあるものの厳しい状況が続いている。
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修正予想では、事業利益を通期で120億円引上げた。内訳はCOVID-19影響で80億円、その他で40億円の増加を見込んでいるが、40億円の背景を教えて欲しい。また、COVID-19影響のみで考えると、第1四半期のみで約100億円事業利益が改善していると思うが、通期のCOVID-19影響の改善額を80億円とすると、第2四半期と第4四半期でそれぞれ10億円程度のマイナスと見える。背景を教えて欲しい。
40億円の増益要因は、化成品の8億円、アミノ酸の17億円などが含まれる。化成品は、第1四半期の増益を反映させており、第2四半期以降は、米中貿易摩擦影響によって、中国に関係する顧客に供給できなくなることをリスクとして想定している。アミノ酸は、輸液向けの需要が高まる中で、需給がタイトとなり単価向上努力を重ねていることが改善につながっている。
(40億円の内訳は、化成品で8億円、アミノ酸17億円とのことだが、その他15億円は何か、との問いに)
共通費などが含まれる。
(事業利益の通期の改善額は、第1四半期の実績のみを反映していると見えるがどうか、との問いに)
様々な要因があるが、リスクが大きく確信が持てないものは、織り込んでいない。第2四半期、第4四半期で、10億円ずつマイナスとしているのは、調味料・食品とアミノ酸。アミノ酸では、バイオファーマで第2四半期以降、顧客の開発の遅れが本格的に出てくる影響をみている。調味料・食品は経費が出ていく。COVID-19影響の市場調査費用や、デジタル広告の出稿も増えており、必ずしも第1四半期の流れが続くわけではない。経費は、販売の状況を見ながらきちんとコントロールしていく。
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動物栄養事業について、1Qで25億円の減収となった。事業売却あるいは事業縮小につながるアセットライト化の取組みの進捗を教えて欲しい。
COVID-19影響で一部パートナーとの交渉が一旦ペンディングとなっている。状況が変われば再開できるだろう。完全にプロジェクトが止まっているわけではない。中間決算でも、きちんと状況を整理してお伝えしたいが、FY22までに実行するという方針に変更はない。
(アセットヘビーであることが交渉のネックと聞いたが、自らアセットを軽くする取り組みもペンディングとなっているか、との問いに)
ペンディングとなっているのは、パートナーとの交渉が必要な領域のみで、北米の冷凍食品事業の取組みは粛々と進めている。
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第1四半期の事業利益は一時要因で良かったとのこと。一時要因の主なものは販促経費の削減かと思うが、62億円の増益額のうち、金額イメージはどの程度か。
販管費は、約50億円減少している。そのうち半分程度がいわゆるマーケティング費用とお考えいただきたい。多くが日本と海外の調味料、栄養・加工食品の部分。残りは物流費やロイヤリティなど。
(62億円の増益のうち+25億円がマーケティング費用の減少であり、一時要因だと考えればよいか、との問いに)
加えて、GP率向上によるものもある。特に調味料では値引きがかなり減っており、2桁億円くらいのインパクトはあったと考えている。
(第2四半期以降は、ここが剥落すると考えてよいか、との問いに)
当社のシェアが下がってきていることについては危機意識を持ち、しっかりと施策を打っていかなければいけないと考えている。
(スライド5ページを見ると、第1四半期はCOVID-19により、売上で200億円弱の減収影響、事業利益で+40億円程度の増益影響となっており、今の話に近い形になっている。すると第2波がきても売上は減るが利益は増える、ということにはならないのか、との問いに)
第2波がきても、第1四半期と同じ状況は続けられないと考えている。消費者の動向をみると、節約志向も高まっており、当社はシェアを落としている。これに対し、対抗していく必要があると考えている。
(第1四半期は費用をかなり抑制し、結果シェアを落としたので、第2波が来た際には費用を使うということか、との問いに)
Yes。
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ヘルスケア等は第1四半期が34億円の増益。今回上方修正したが、それでも通期では29億円の減益予想。第2四半期以降は64億円の減益を見込んでおり、アミノ酸で33億円、化成品で14億円、その他で12億円と万遍なく減益予想となっている。調味料・食品は利益率を2割程度確保するため費用を使うということは理解できるが、ヘルスケアでは理由にならないと思う。ここまで減益とみている要因を教えてほしい。
第1四半期の売上で当初予想と差が出たのはアミノ酸。想定より27億円程度上にきた。特に受託ビジネスにおける顧客の開発の遅延が第1四半期は反映されていないが、それがほぼ第2四半期以降に発生するという見方をしている。またアミノ酸については値上げができた。これがずっと続くわけではなく、ある程度リスクは見ている。
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今回の修正業績予想では事業利益を900億円としているが、上振れ要因があるとすれば何か。また下振れのリスクも考えておくべきなのか。
COVID-19影響の想定を超える部分は修正業績予想に織り込んでいない。下振れのリスクはあると考えている。各国で経済活動を優先している状況において、経済、GDP成長率、失業率、所得等の悪化が想定を超えて悪化することで大きなマイナスになる可能性はある。一方で上振れ要因は見通せていない。言えることは、両事業本部で努力しているということ。2週間に1度のシナリオプランニングミーティングにおいて、各国のCOVID-19のアップデートと市場環境及び生活者の変化について共有し、各地域本部長が中心になって議論する場を設定している。いくつかのアイデアも出てきているので、早く実行に移していきたい。
今回の事業利益900億円の予想はマイナス要因もあるため、底とは考えていないが、近年予想を達成できないことが続いており、当社としては確実に達成したいと考えている。ただし、保守的に設定した予想ではない。例えば、工場で感染者が発生すると国によっては工場全体を止めることもある。そのようなことは予想に織り込んでいない。
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Five Stars各国の通期の売上計画をイメージでもよいので教えてほしい。
数字について詳細に申し上げられないが、四半期ごとに数%ずつ売上高成長率が上昇することを計画している。ただし、主要国のGDPが5%程度悪化することも織り込んでいるため、最終的に前年を超えないことも想定している。