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構造改革、アセットライトの進捗状況について伺いたい。通期で従来予想していた160億円の構造改革費用を、今回は構造改革が前倒しで進展することで230億円へ修正しているが、進捗状況を教えてほしい。
これまで動物栄養の構造改革についてはCOVID-19の影響を受け半年から1年程度凍結されるということを5月の説明会でお伝えしたが、足元では既に交渉が再開されている。構造改革費用を修正した背景は、この事業に関する部分が中心である。 -
海外主要国の調味料の売上について、第2四半期実績は第1四半期よりもかなり改善している。COVID-19感染が継続する状況で、基礎調味料から加工食品まで幅広いバラエティーを持っている当社の製品ポートフォリオは、売上を底上げできるような環境にあるのか。
今回起きている新常態(行動様式の変化、消費構造の変化)で、当社の家庭用製品の拡大ペースが1段上がったという認識をしている。一方で、外食向けの製品が2019年度レベルに戻るには相当時間がかかるであろうということも想定している。したがって、特に海外各国を見ると、「味の素®」は外食向けに使われている部分もあり、まだ数量で前年対比100%には戻っていないが、風味調味料は(外食向け比率が高いタイを除けば)各国で非常に高い伸びを示している。またメニュー用調味料では、インドネシアやフィリピンで唐揚げ粉や液体調味料、ベトナムではマヨネーズなどが、いずれも2桁以上の高い伸びとなっている。これらを主力製品に育てる機会として捉え、しっかりと下期も販促等を行っていく予定である。 -
第2四半期は家庭用の売上が非常に好調だったが、外食が再開したことで顧客がいったん在庫を持ちに行くといった動きもあったことは十分に予想できるものの、この第2四半期の好調さは、下期もある程度続くと見て良いか。
感触としてはご質問の通りで、この第2四半期は各国でロックダウンを解除し外食を再開させており、そこで一気にこれまでゼロだった流通在庫が入ったことから、この部分はやや少なく見積もる必要がある。一方で、メニュー用調味料の伸びは、家庭での調理機会が増えていることと連動していると思っているので、足元の拡大ペースをしっかりと続けられるように努力をしていく。
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国内の全体感について伺いたい。第1四半期は、COVID-19の環境の中で主力品を中心に販売したことで、マージンが高くなったと聞いた。一方でマーケットシェアを落としたので、第2四半期以降はマーケティング費用を一定程度積み増していくということであった。第2四半期は、日本全体で5億円の増益となっているが、この背景について教えていただきたい。 また下期の見通しについて、新製品政策が下期ではGP率にはややネガティブに効く材料になるのか。ただし、来期以降で見ると、それがグロースドライバーとなってボリューム増という形で、プラスに転じるような材料に変化するのか。考え方を教えて欲しい。
第1四半期において、主力製品に販売を集中したことがマージンを高めることに貢献した。また値引きが少なかったこともポジティブに効いた。主力製品に販売を集中した理由は、まず消費者や流通側の要請があったため。一方で、当社としてもCOVID-19の影響下で、工場サイドも密にならないように工夫が必要で、フル生産が難しい状況もあったが、できる限り生産品目を絞り安定して供給を続けることを重視した。第2四半期では競合関係も通常に戻ってきており、値引きはほぼ前年並みに戻った。また第1四半期では一部主力製品だけだった広告投資も、ほぼ前年並みに戻った。一方、店頭活動等はまだ一部制限が残ったことで、販促費が進捗していない。第2四半期が終わったところでも、まだシェアが戻っていない製品もあることや、来期以降のオーガニック成長を支える主力製品への投資が必要と考えており、下期は販管費を使用していく計画。
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海外について、足元でタイの政情不安含め、現状の地政学的なリスクをどの程度計画に織り込んでいるか教えて欲しい。また通期の主要国の売上げの伸長率の前提を教えて欲しい。
海外について、地政学的なリスクは予想には反映させていない。ただ、そうしたことも加味して、数字については少し慎重に計画している。海外調味料全体では、下期は為替影響を除くとほぼ前年並みに戻ると見ている。各国ごとには数字は開示していないが、タイは経済がかなり落ち込んでいる。現在の政情不安も見通しに入っていると思うが、経済が落ち込んでいることと、外食も完全回復には至っていないということを反映して、マイナスで見ている。一方で、もともと家庭で調理する機会が多いインドネシア、フィリピン、ブラジルの伸びが大きいのは、機会を捉えられているためと考えている。
(下期は為替影響を除き前年並みになるということだが、上期はどうだったか。年間の見通しも合わせて教えて欲しい、との問いに)
上期の売上は現地通貨ベースで1桁前半増。第2四半期は1桁後半増。通期で一桁前半増を見込む。第2四半期は、外食向けのパイプフィリングが入っており、まだここまでの実力はないと思っている。
(おしなべて見ると上期は数%のプラス、下期は前年並み。COVID-19の影響や経済の減速感を慎重にみて、前提を置いている理解でよいか、との問いに)
Yes。
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リスクがありそうなところをお伺いしたい。ソリューション&イングリディエンツ(以下、S&I)の中に入っている核酸について、単価下落という話があった。一方、上期S&Iで20億円の減益の内、加工用うま味調味料の減益額は3億円だけ。それ以外の部分が大きく減益になっているかと思うが、どのような内容か。また下期のS&Iをどのように見ているか。
S&Iについては、第2四半期でみると30億円の減収。その内約半分が国内業務用調味料、残りが加工用うま味調味料。加工用うま味調味料の減収は、主に換算為替のマイナス影響や核酸の販売数量減少、単価下落によるもの。事業利益についても、S&I計で17億円の減益だが、約半分が国内業務用調味料、残りが加工用うま味調味料というイメージで捉えていただきたい。下期は少し構造が変わり、18億円の減益予想はほとんどが加工用うま味調味料によるものという建付け。国内業務用調味料の利益は戻していけるという想定である。
(国内の状況は第1四半期が最も厳しかったのではと思うが、なぜ第2四半期に国内業務用調味料がここまで減益となっているのか、との問いに)
第1四半期よりも第2四半期のほうが減収幅は小さくなっている。事業利益の面でも、特に外食デリカに関しては少し戻ってきている。反対に、加工用うま味調味料の減収幅は第1四半期より第2四半期のほうが大きくなり、事業利益も減益に転じている。核酸や換算為替の影響によるもので、下期もこのトーンは継続すると考えている。
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第1四半期、第2四半期でなぜ計画に比べてこれほど業績が変化するのかについてお伺いしたい。当社は、期初の業績予想においてはマイナスリスクを最大限織り込んでおり、実際にはそのようにならなかった、という理解で良いか。
特に今年度に関しては、様々な変動要因があり経済の影響が見通しにくく、業績予想が難しい。表面的な状況としては、外食向けは厳しく家庭用は好調という見え方ができるものの、潜在的に隠れているリスクもある。例えば、経済状況の低下によって失業率がさらに高まったり、補助金のカットなどで消費が悪化し、食品にかかる費用を節約するという状況も生じ得る。リスクを数字として最大限織り込んでいるわけではないが、業績予想においては、状況を慎重に見ざるを得ない状況である。
(下期の予想も同様に慎重に見ているのか、との問いに)
今回見積もることができる状況を踏まえて修正予想を立てているが、下期に顕在化する事象もあり得るため、慎重に見ている部分もある。
(マーケティング費用を全部使いきるとは思えないが、どうか、との問いに)
COVID-19環境下において、各国のマーケティング費用の使い方については苦慮している状況である。上期にできなかった店頭活動が徐々にできるようになっており、売上高や売上総利益の状況を見ながら、マーケティング費用をコントロールしていくことをご理解いただきたい。 具体的に申し上げると、例えばベトナムの「Aji-ngon®」は6月に5年ぶりに製品改定し、滑り出しは良いが、マーケティング投資をしていかないと、昨年のように競合にシェアを奪われるだろう。フィリピンの液体調味料「Sarsaya®」は対前年2桁以上伸長しているが、競合の多い製品であり、シェアを上げていくマーケティング活動が必要である。ブラジルは、「味の素®」、「Sazon®」をコロナ禍の中で値上げを実施しており、広告などのマーケティング投資が必要。日本では、「ほんだし®」は今年50周年を迎え改訂品を発売しているが、家庭での調理機会が増えていることを生かして、力を入れていきたい。
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当社にとって、COVID-19の影響は売上高にポジティブに効いているか。
売上高については全体的に業務用が下がっているので、ネガティブに効いている。第1四半期、第2四半期は、経費を使用しなくても家庭用製品ではある程度の成果が出たが、これが継続できるとは考えていない。個別の製品を見ると競合他社にシェアを奪われているものもある。
(Five Starsにおける海外コンシューマー製品のシェアは上がっているか、との問いに)
今はほぼ維持をしているという状態。一部ベトナムの風味調味料で19年度にシェアを落としているが、基本的には維持または微増。例えばインドネシアの「味の素®」は、数年前にトップのシェアになり、少しずつ良くなっている。ただ競合の販促の状況により、一時的にシェアを奪われたり、取り返したりしているものもあるが、長期的にはシェアを維持していると見ている。