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2014年度の設備投資額は国内食品セグメントと海外食品セグメントが大きく増加する計画になっているが、その背景について伺いたい。また、バイオ・ファインセグメントについては高水準の投資が続いているが、なかなか減少しないのは何故か。
バイオ・ファインセグメントについては設備投資総額を据え置いた上で、設備投資をコモディティ分野からスペシャリティな分野へ、大きくシフトさせている。国内食品セグメントについては、冷凍食品の国内工場の構造改革に向けた合理化投資や販売好調の「ギョーザ」の生産ライン増設投資などが主体。海外食品については、低資源利用発酵技術の導入によるコストダウン実現の為の投資や販売好調の風味調味料の増産投資などが主体である。
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2014年度のROE予想は7.1%と2013度実績値と変わらない。これは経営としての、どのようなメッセージの表れなのかを伺いたい。
2014度目標の当期純利益とバランスシートの数値で計算するとROEは7.1%となる。しかし、2016年度にはROE9.0%の達成を目指していく。
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2013年度第4四半期のリジンの市場スポット価格は下落傾向が続いていたが、通期で2億円という営業利益を確保できたのは、例えばリジン価格が$1.30/kgになっても利益が出せるのに業績予想を固く見積もったからなのか、或いはコストダウンの成果が見込みよりも多く出たからなのか。
2013年度第4四半期のリジンは、競合が北米で生産を開始した事もあり、価格が軟化して非常に厳しい状況であった。一方、スペシャリティ商品である「AjiPro®-L」は予定以上の売上と利益を確保できた。同様にバリンなどの販売拡大や価格戦略の展開に加え、コストや経費削減なども含めて利益の積み上げを行った結果、何とか黒字を確保した。
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2013年度の飼料用アミノ酸事業の営業利益におけるスペシャリティ由来の利益比率はどの程度であったのか。
2013年度はコモディティ製品が非常に厳しかったので、スペシャリティ比率はあまり意味をなさず開示対象外としている。 2013年度との比較を行う為のものというよりは、リジンやスレオニンなどコモディティバルクの市況変動に頼らない体制を作る為の、一つのメルクマールとして考えていただければと思う。 スペシャリティという分類自体、14-16中計から開始したばかりなので、開示方法等今後工夫を加えたい。(2013年度の営業利益はスペシャリティ由来の利益が想定よりも上振れたと考えて好いか、との問いに)Yes。
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ABFについて、タブレット型端末、スマートフォン用途へのシェア拡大の確度、手応えはどの程度か。
次の二つの点で当社の優位性が確保でき、手応えを感じている。 一つは端末の低価格化と高性能化が今後ますます進む中、より高性能な素材が求められ、価格と比較し高性能であるABFへのニーズが高まってくる点。 もう一つは採用までにはユーザーとの共同開発が求められるが、当社はここに力点を置いており、種々のお客様との取り組みを進めている点。
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医薬事業の2014年度営業利益予想における構造改革の効果22億円の詳しい内容を教えてもらいたい。
工場固定費の削減が8億円、残る14億円のうちR&Dの構造改革によるものが約7割、残りが営業マーケティングの構造改革等によるもの。
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2014年度で全社共通費が2012年度並みに増えている理由は何か。2015年度以降も増えていくのか。
14-16中計では、R&D費を全社戦略の中長期テーマに集中的に投じることにしているが、総額は増やさず、従来は各事業部門で負担していた一部の研究経費を全社共通費での管理へ移行させた。 全社共通費の増し分の6割強はこの影響。もう一つは退職給付費用の増加によるものである。 約10年前に年金制度を改定し、退職給付費用の総額が減る中で数理計算上の差異が益サイドで発生した。 これは翌年から10年間で償却することになっているが、その償却が終了した影響が2013年度より出ている。今後については大きな変動は見込んでいない。
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2015年度以降の飼料用リジンの販売価格の見通し。2014年度は価格が下げ止まり上げ基調に転じると思うが、ある競合が10万トン増産するという情報がある中、2015年度以降価格は上昇を続けるのか。
競合の増産情報があることは認識している。 現在、競合各社が生産を調整しているのは供給力重視の戦略だけでは経営が立ち行かなくなっているからで、競争力のある供給力か否かの観点で捉えることが重要。 今後も需要は増えることが見込まれ、生産能力拡大、新規参入を意図する企業は出てくると思うが、価格は需給バランスに左右される。 現在の価格は歴史的にも低水準で今後は是正されてくると思うが、一本調子で上がるとの楽観的な見通しは持っていない。 どのような事業環境においても、競争力があり、利益が出る体質を作るべく構造改革を続けていく。
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飼料用リジン市場が2014年度年央に回復するという前提の確度。市中在庫はどの程度減るのか。当社の販売量が横ばいの前提下で他社の供給量をどの程度と見ているのか。過去からも$1.30/Kgになったことがあるが、当時の在庫率と比較して現在はどの程度の在庫水準なのか。
市中在庫の正確なデータはないが、2013年11月の中間決算説明会では中国市場で約半年分の在庫がある異常な状態と申し上げた。 その後、12月頃から各社の生産調整が公表されている。在中国競合の生産調整により、中国市場では約2か月分の在庫水準まで下がってきたと見ている。 北米でも競合が生産調整をしているとの情報もある。グローバルのリジン需要を220~230万トン程度とすれば月間では平均して18~19万トンとなり、供給量はその約15%程度の2-3万トンが調整され、市中在庫は減少に向かっていると見ている。 価格が上昇すれば供給量を増やす企業も出てくると思われ、これらの状況を慎重に見極めながら、どの時期にどの程度の値上げを行うかを適切に判断する。
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2014年度の配当性向予想は30%を下回っており、ROEも横ばい予想となっている。この目標をどの様に受け止めれば好いのか。大型投資があると捉えて好いのか。
現時点では20円/株の配当予想だが、利益の出方を見ながら適切に考えていきたい。 (2014年度はROE目標を押さえてでも成長投資を実現するという方針があるのか、との問いに)成長投資は常に考えている。 特に14-16中計期間に必要な投資が出来れば好い。配当性向は利益水準で変わってくるため、利益をしっかりと創出して目標達成を目指す。
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東洋水産(株)と合弁事業を行う意義を再確認したい。同社のどこに魅力を感じたのか。
当社も即席麺事業を行っているので一定の製麺技術等は有しているが、東洋水産(株)が長年培ってきた技術開発力に加え、日本や北米という競合環境の厳しい所で打ち勝ってきた技術力と知見が卓越している事に、特に魅力を感じている。 これから展開を開始するインド、ナイジェリアには既に圧倒的な市場シェアを持つ先行競合がいるため、今から市場参入するためには強力なパートナーが必要になると判断した。 (強力な先行競合がいる市場において、どの様に市場シェアを確保するのか、との問いに)東洋水産(株)には当社の想定を超えた低コストでの生産技術を期待している。 但し、いくら低コストで生産出来ても既存の商品と差別化出来なければ意味がない。どの様に差別化を図り、更に価値のある商品を開発するかについて正に今、一緒に検討を開始した。
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海外コンシューマーフーズの2013年度の営業利益は、為替影響を除くと約26億円の増益であったが、2014年度は為替が若干の向かい風にも関わらず約50億円の増益計画である。なぜ2014年度は大きく増益を見込めるのか、要因を教えて欲しい。
2014年度には為替メリットをほとんど織り込んでおらず、自立的な成長を期待している。 2013年度はタイにおいてMSGの新工場の立ち上げに手間取り、なかなか想定通りの利益を得られなかったが、2014年4月からは、前年ほど在庫も重くなく、「味の素」を中心に大きく回復している。 2013年度苦戦した飲料も、積極的な広告投資と差別化された「Birdy®」の新製品で成長を図る。 利益の柱となる国なので、2014年度に大幅に回復することを期待している。他にもFive Starsを中心に、「味の素」や風味調味料、メニュー用調味料、飲料、即席麺等の主力品の2桁近い成長を実現していく。 また、アフリカも2013年度後半から業績を持ち直しており、その流れを2014年度も継続していく。 (アフリカで持ち直しているというのは今まで苦労していたMSG価格の面か、との問いに)2013年度の販売が当社の見込み通りにいかず苦戦したが、2013年度後半からは持ち直している。2014年度も引き続き伸びることを期待している。
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中国のリジン在庫水準は調整されてきているとしても、2014年度と2013年度で大きく状況が異なるのは北米だろう。北米の需給ギャップは2014年度中に回復に向かうのか。
北米リジン市場については心配していない。市況回復のタイミングの問題はあるが、必ず回復する。 北米では当社が1986年に工場を建設した後、他社が参入してきた。現在では4社が北米に工場を有している。 当然各社とも利益を求めて投資している訳であり、現在の価格レベルに留まりたいと思ってはいない。 同じ国内での競争なので為替や原料価格等の条件は基本的に同じになり、技術力の勝負になる。 そうなれば当社に優位性があり、コスト的に有利になると考えている。 歴史的にも新規競合の参入直後は価格競争で市場価格は下落したが、必ず回復している。悲観的な気持ちは全くない。
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冷凍食品の中長期的なポテンシャルを確認したい。2014年度の増収増益、マーケティング費の増加は国内が中心と捉えて好いか。
2013年度から2014年度にかけて、86億円増収を見込む内、約40億円が海外である。営業利益11億円の増益については、5億円が海外である。 海外の営業利益率は国内の2-3倍であり、今後は海外の構成比を上げていくことが冷凍食品事業全体を健全化する上で大事になる。 市場としてはかなり成熟している北米や欧州の冷凍食品市場において、当社は北米進出から14年間、欧州進出から10年間事業規模を拡大し続けている。まだまだスペシャリティ化の余地があると思っており、現在130億円強の海外売上高を2016年度から2020年度までを目途に300億円規模にしていきたい。