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今期業績に及ぼす為替影響がかなり大きくなっているが、今般アフリカの会社を買収した事で為替影響は更に強くなると思われる。今後どのようにして収益変動を抑えていくのか、為替マネジメントの考え方について伺いたい。
生産販売拠点を極力、地域分散しておく事が重要。また、地産地消の事業を伸ばしていく事も結果的に為替マネジメントに繋がると考える。
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貿易為替の影響の大きいBRLは今下期、対USDでどれ位のレベルを想定しているのか。
我々はブラジルの政情不安を勘案し、かなりBRL安とみて、今下期については1USD=3.8~3.9BRLを想定している。現下は1USD=3.2~3.3BRLなので、貿易為替で考えればリスク要素となるが、ブラジルは国内でコンシューマー事業を展開している為、換算為替ではポジティブ要素となる。よって、全体としてはバランスするのではないかと思っているが、引き続き、為替動向を注視していく。
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味の素ウィンザー社(以下、AWI社)はSKU削減など事業構造改革を実行中であるが、来期は増収増益にもっていけるのか。
低収益なアイテムの整理は日常的にやっていかねばならないが、「Tai Pei」のように味の素冷凍食品社の技術を入れて付加価値型商品へ製品改訂も行っている。工場単位で見ると未だ低収益な工場や老朽化した工場があるので、来期中には何らかの手を打ちたいと考えている。尚、今期も増収増益の見通しであり、来期以降も増収増益を続けたいと考えている。これによって2020年度に営業利益率9%を目指していきたい。
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動物栄養事業のスレオニンのボラティリティが大きいが、どの様な対策を講じているのか。
アミノ酸には酸性・塩基性・中性の3種類があり、グルタミン酸が酸性、リジンが塩基性、スレオニンは中性アミノ酸である。同じ中性アミノ酸であれば同一設備での生産が可能。よってスレオニンのボラティリティ低減の為、より付加価値の高い中性アミノ酸を生産するフレキシブル生産が基本的対応方針。現在フレキシブル生産でバリンとの切り替え生産を行っており、一定の成果に繋がっている。
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対前年下期比較での貿易為替影響▲32億円の内訳を教えてもらいたい。
USD・JPYの通貨ペアで7割弱、日本から欧州への輸出部分(EUR・JPYの通貨ペア)で約3割である。それ以外に新興国通貨でマイナス、日本の冷凍食品の原料輸入分のプラスがある。
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動物栄養事業について構造改革をもう一段、強化するとの事だが、中国をはじめとした市場の不振は継続しており、事業環境はより厳しくなり全体利益への影響も大きくなってきている。今後、本事業について具体的にどのようなマネジメントをしようとしているのか。
本事業の構造改革については基本的にコストダウンやフレキシブル生産等を実施してきたが、状況を改善させるまでに至っておらず、今後は色々な施策を実施しなければならないだろう。現時点では具体的な事は言えないが、次期中計では何らかの考え方をお示ししたい。
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甘味料の日本から欧州への輸出増加や飼料用アミノ酸の欧州から英国への輸出など従来とは事業構造が変わる事で、為替のリスクが高まってきているのではないか。今後どのような対応をしていくつもりなのか。
ナイジェリアではMSGをブラジルから輸入しているが、これを例えばフランスからも輸入するような輸出入のフレキシブル化で為替リスクを軽減する等の対策を図りたい。
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海外調味料・加工食品の第2四半期の営業利益は対前年で24億円の減益。内、換算為替影響▲18億円、単価影響+11億円、売上増加に伴う利益増と経費増のネットが▲17億円となったようだが、第2四半期は何らかの経費が増加したのか。
第2四半期についてはSGA比率が若干高くなり、現地通貨ベース(換算為替影響を除く)でも減益となったが、中間期で見た場合は現地通貨ベースで6億円の増益となっており、成長路線は維持している。
(主力の調味料のトップラインについては堅調であるが、それ以外の商品については競合影響で販促費を使っている為、全体の利益の伸長がスローダウンしているという事か、との問いに)タイの売上鈍化が全体の足を引っ張っており、特に缶コーヒーと粉末飲料の売上低下が大きい。今後は全面的な製品改訂と新製品の上市をし、タイの売上回復を図っていく。全体としての売上成長、営業利益二桁増という基本方針に変更は無い。 -
営業利益に対する「USD対BRL」の貿易為替の感応度は、今年度の期首予想では 1USD当たり0.1BRL安の場合+約2億円であったが、修正予想では同+5億円となっている。半年間で感応度が大きくなった理由は何か。
本ご質問には即答出来ませんでした。説明会後、ご指摘につき調査しましたところ、修正予想の感応度が記載ミスである事が判明いたしました。正しくは期首予想と同じ、「1USD当たり0.1BRL安の場合+約2億円」です。訂正とともにお詫び申し上げます。
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換算為替は世界展開すれば、致し方ない。貿易為替の為替変動が大きいので、現地価格に転嫁してオフセット出来ないか。短期的には無理だと思うので、三カ月や半年でしっかりマネジメント出来れば、改善出来るのではないか。そこが大きいというのは、コモディティ性が高いと言える。今後の対応について伺いたい。
貿易為替影響が発現する事業は、加工用うま味調味料(MSG、核酸)、飼料用アミノ酸、甘味料、電子材料であり、素材として取引される。電子材料はコモディティではなく、MSGは70%程度が自社内使用の為、当社で価格はコントロール出来る。甘味料は事業の再構築をしたが、相手が大手飲料メーカーなのでビジネスが構造的に変わっておらず、販売価格を容易に上げられない。当社で大部分、価格コントロール出来るようになってきたが、急激に状況が変わるところはギャップが出てしまう。
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コモディティの割合を外科的に下げていく必要がある。長らく、コストダウンでの対応については伺っている。コモディティで戦う競合がいる中、次期17-19中計においてスペシャリティ化をより推進し、分社化や切り離す等のスタンスで臨んで頂くのであれば安心出来る。対応策について選択肢が広がるのか。
かつて構造改革のテーマとして取り組んだ甘味料、医薬、加工用うま味調味料事業(内需率拡大)で行ってきた改革をみて頂きたい。甘味料や医薬と違って、飼料用アミノ酸はアセットが大きく、テーマとして難しい。中国勢の変化をみるに、短期的な業績からしても、競合も事業として苦しいはず。今後、こうした状況踏まえ、幅広く、構造改革の選択肢として検討できる。
(中国勢の変化に伴う、商機とはどういう意味か、との問いに)業界全体で儲かっていない。当社も競合も苦しいので、これまで当社が行ってきたことを振り返って頂ければ、お分かりになると思う。 -
ESGについての質問。目標に掲げている1日7時間労働に向けた労働時間短縮の進捗および施策を伺いたい。
2017年4月からグループ代表として味の素(株)単体の就労時間を1日20分短縮すべく準備を進めている。考え方として、どこでも働ける環境(ICT活用)に変えていく。現在、複数の部署で試験的導入をしている。介護、育児時短勤務以外でも活用出来る。通勤しなくても、どこでも仕事が出来る。また、会議の縮小や効率化(ペーパーレス)、レポートをまとめ直す仕事も最初からペーパーレスに変えていく。ICTの投資もしていく。着実に進捗はしているので、別の機会に報告していきたい。
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動物栄養事業の儲からない状況下、今後、中国での再編等があると考えているのか。たとえば、中国におけるメーカーの再編、撤退、もしくは近い将来、大掛かりな生産能力の根本的な削減が行われることを想定しているのか。
動物栄養構造改革の選択肢の中に、中国勢と組むことも入れていくという考えであることをご理解頂きたい。これを実行するという意味ではなく、出来るだけ選択肢の幅を広げたいという事。
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プレゼン資料P24に「グローバル食品トップ10クラスへ」と記載されているが、残念ながら、トップ10の道は離れている。日本においても、営業利益率、時価総額ともNo.1からNo.2へ後退。当社の成長が株式マーケットに刺さっていないという状況。第1四半期は海外食品の成長は+4%に留まっている。成長の加速ではなく、鈍化している印象。どうテコ入れをしようとしているのか、もう一度お話しいただきたい。タイで何が起きているのか、リニューアルして上手くいくのか。自分はそう思わない。なぜ、タイの売上が拡大すると信じているのか教えて欲しい。
タイが足を引っ張っているのは事実。上期では為替影響を除くと104.5%。二桁以上成長しているのは、インドネシア112%、ペルー110%、ブラジル113%。規模は小さいが、ポーランド115%、フランス122%。鍵はタイをどうやって復調させるかである。タイは国と社会が一つの壁にぶつかっている。過去、長きにわたり投資恩典制度を使って輸出企業を誘致し、輸出の成長でタイの成長を図るというモデルであったが、中国の景気減速により成長が維持できなくなったという大きな社会的背景がある。技術蓄積でもう一段上を目指し、国と社会がもがいている状況。当社はタイで長きにわたり事業展開しており、調味料は大きなボリュームになっている。「味の素®」はシェア90%以上。一人当たりの消費量も多くなっているが、伸長率は5%を切っている状況。風味調味料は同5%、メニュー用調味料は同、二桁。主力の缶コーヒーは説明があった通りである。どうやってタイで伸ばしていくか、それはタイおよび周辺国の開拓である。周辺国だと、タイ+1(タイ・プラス・ワン)としてカンボジアが挙げられる。人口はかつて700万人だったが、現在、倍の1,500万人。タイから輸出している調味料、缶コーヒー、即席麺は順調に伸びている。ミャンマーは説明のあった通り、タイが主導してミャンマーでマーケットを創っていく。タイ国内では新たな事業を創っていく。そのひとつの柱が冷凍食品、デザートで市場を創出できないかということ。いろんな種を持っている。具体的な製品、時期はまだ説明できるタイミングではない。時期が来たら、あらためてお示ししたい。
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営業利益率について、過去はほぼ一定に留まっている。成長を目指すのであれば、当然上がるはずが、横ばい。グローバルトップ10というより、トップ50ぐらい。今後、どう改善するのか。
ご指摘の通り。具体的な成果につながっていない。大きな要素としてはコモディティの構造改革が残っていること。もう一つ、次期中計で取り組んでいくことは、日本食品の低成長を前提とした上での取り組み。金額的には横ばいだが、ボリュームが小さくなっているので、従来と同じ生産規模では非効率。PLをよくするために、グループ展開を進めたが、結果としてバックオフィスが分散している。国内の営業利益率をどうやって高めていくか、前述の働き方改革も大きな意味では効率を高める事につながる。生産、物流、バックオフィスの切り口を加えて営業利益率を高めていきたい。
海外については、高藤の説明の通り。タイはポーションが非常に大きく、影響も大きい。昨日発表したアフリカの件、Five Stars以外にも先行投資をしている。小さいながらも次の柱にしていく。小さいと言えども売上高100億円規模の国が増えており、二桁利益成長していくことは間違いない。この様な柱をいくつも立てていく中計になると考える。
(利益率は日本の会計基準だと7-8%、次期中計では、資料に記載されている最低10%は視野に入れているのか、との問いに)10%は視野に入れている。
(10%達成には、かなり抜本的な国内食品の構造改革が不可欠。社内の組織、人員、固定費等が考えられるが、抜本的な処方箋が必要であり、そうした覚悟はあるか、との問いに)そのストーリーは着々と進めているとご理解頂きたい。 -
14-16中計で掲げた2020年度以降の目指したい姿としての営業利益1,500億円というのは、次の17-19中計においてもベースとなっているのか。それとも17-19中計においてはゼロベースで将来像を描き直すのか。
為替にもよるが、営業利益額1,500億円というのをグローバル食品メーカーTOP10の水準として置いている。1USD=100円程度という前提に立ち、現在のTOP10メーカーも成長すると仮定すると営業利益で1,300~1,400億円というのがギリギリTOP10に入る水準だと思っている。そこに当社の収益構造等を加味すると、営業利益で1,500億円ないとROE等の他のKPI目標を達成出来なくなってしまう。そういう意味で、営業利益目標としての1,500億円には拘っている。
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2020年度の利益目標の地理的なポートフォリオは、現在とどの様に変わっているイメージなのか。新興国におけるボリューム増による利益増は今後も続くと思うが、2020年度までに達成しようと思うとより単価の高い先進国の比率を高めないと間に合わないのではないか。AWI社の目指す営業利益率である9%というのも、全社目標から見れば低いと思う。相当ボリュームを伸ばさないと目指す姿に到達しない計算だが、どの様に考えているのか。ここから先、味の素グループがどの様に変わっていくのかを教えて欲しい。
元々の戦略として、M&Aで先進国も狙っている。また、トピックスとしてプレゼン資料に掲載している長谷川香料社との業務提携についても、2020年度までには事業として組み入れていく。この取り組みは収益性が高い。これ以外にも、アルテア社の買収等、アミノサイエンスの領域で取り組んできた高収益事業も2020年度には業績に寄与してくる。具体的なポートフォリオは17-19中計の発表まで待って頂きたいが、今までに下準備をしてきた事業の貢献を考えている。
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競合メーカーの説明の中で、同社のチルド製品が「Cook Do®」と激しく競争しているという話があった。今後3年間の人口動態等の変化を鑑みた場合、国内食品市場の中で、常温・チルド・冷凍という3領域が其々どの様に変わっていくと考えているか。
1人の消費者がチルド製品もドライ商品も冷凍食品も購入するが、今後5年間でその買い方は変わっていくだろう。購入する場所も総合スーパーからCVSに変化しており、そのCVSでさえチルド製品の扱いが過去に比べてかなり増えている。チルド製品と「Cook Do®」は直接的には競合していないと思っている。チルド製品を購入する時には恐らく即食性という動機が働いており、「Cook Do®」を購入する時には肉や魚、野菜も一緒に購入する必要がある為、「Cook Do®」を使用するなりの動機があるはずである。大事なのは各サプライヤーが消費者に対していかに有用な情報を提供し、購入頂ける気持ちと場を作る事である。スーパーの売り場も10年前とは大きく変わっており、生鮮3品の売り場で滞在時間の大半を占める様になっている。その中で、如何に消費者に商品に関する情報を伝え、実際に使って頂く機会を創出するかが問われている。冷凍食品で最も売れているギョーザやチャーハンを見ても、やはり美味しく高品質なものは購入頂けるという事が改めてよく分かる。食品においては、いかに美味しいものを提供出来るかという一点にかかっていると思う。
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海外食品事業の成長率が2015年度、2016年度上期共に1桁半ばに甘んじている。その前は成長率が1桁後半であったが、来年度の成長率は従来の1桁後半の水準まで回復するか。それともまだ厳しい状況が続くか。
海外食品の4-5%成長は2020年度の目標である営業利益1,500億円を達成する為には全然足りないので、是非成長率を戻していきたい。
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来年度の成長率はどうか。当社の成長ドライバーであり、1桁半ばでは市場からは評価されない。来年度には成長が加速するのか、厳しい環境が続くのかを教えて欲しい。
来年度に成長率を引き上げるべく、あらゆる方策を打っていく。その自信については、現時点では「ある」という答えしかない。
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今までもボラティリティリスクの低減には取り組んでいるが、結果としてまだ不十分である。それを踏まえて、今後事業ポートフォリオをどの様に改変しようとしているのか。動物栄養は方向性を伺ったが、全社としてどの様に考えているのか。
コモディティ事業の整理はかなり進めてきたが、まだ最大のコモディティ事業が残っている。この事業の改革に取り組む事で成果が目に見える形にしたい。一方、スペシャリティを伸ばしきれていないという問題もある。この点についても、具体的な数値に出来る様にしていきたい。また、象徴的にウィンザー社、AGF社を挙げているが、M&A後のシナジー創出も早期に実現したい。M&Aについては、今後も注力する。