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足元動物栄養の販売価格は若干回復するも未だ不透明感が強く、為替のマイナス影響もある。不安定要素がある中で、2016年度の業績予想を達成出来るのか。
2016年度の動物栄養の販売価格は後半に上昇を見込んでいる。通期では足元販売価格よりも好くなっているだろう。2016年4月度の業績は海外の調味料・加工食品は円高の影響を受けて円貨ベースではややビハインドだが、現地通貨ベースではうま味調味料「味の素®」や風味調味料に加えて、風味調味料の2割程度の規模であるメニュー用調味料が伸長している。
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社長就任から約1年が経過したが、グローバル食品企業トップ10と比較する中で当社の強みや当社らしさ、存在感をもっと出すべきだと思いを馳せると思う。1年間やってきた中でどの様な思いを持ったのか。
ESGも含めて、何を指標にしながらグローバル食品企業トップ10を目指すのかを考えなければならない。現在のグローバル食品企業トップ10の2位より下位の3位から10位は非常にユニークネス企業である。当社も非常にユニークなものを持っている。食品については、料理を作ったり、料理を提供できるフードサービスを作ったりとバランスの良い食事を摂る事で健康栄養へ貢献している。日本発の食品企業らしいアプローチであり、まだまだやれると考える。好いものをAffordableに提供しているだけでなく、特に栄養の分野で社会にどれだけ貢献出来るかが重要。健康栄養に資する或いは日本食の文化を導入するといった商品以外の価値を国や地域に提供し、行政等のお客様以外との関係を構築しながら成長していく。
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日本食品のBtoBtoC事業は、売上総利益率は低いが営業利益率は高いと決算説明会時にコメントしていたが、その様な理解で好いか。
業務用事業を高収益で伸びる事業にする為にBtoBtoCの仕事を増やし、取り組んできた。得意分野は肉と米用分野。米用調理料はコンビニエンスストアの弁当やおにぎりに使用され、何時間経ってもパサパサにならず、柔らかさを維持できる。肉用調理料についても肉を柔らかくするだけでなく、繊維質を残しながら柔らかくし、ジューシーさを閉じ込める事ができる。これらの裾野は極めて広いと考えている。
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味の素ウィンザー社について、2015年度で2020年の売上高目標を達成したが、2016年度はほぼ横ばいの業績予想となっている。その背景について教えて欲しい。
2015年度はウィンザー社と一緒になりウィンザー社のディストリビューションに当社商品が並び始めた事で伸長した。W社の低収益な商品を約150SKU削減したが、旧味の素冷凍食品社商品の販売増がカバーし業績好調だった。2016年度の業績予想が横ばいとなっている理由については、SKUの整理を更に大胆に取り組んでいく。4-5月も既にその取り組みがスタートしており、2016年度は構造改革の年と位置付けている。2016年6月には東洋水産社との合弁事業である冷凍麺工場がポートランドで稼働する。9月には東部の冷凍米飯工場が稼働し始める。プラス要素が大きくなるのと同じくらい構造改革を取り組む計画である。
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今後タイを中心としたFive Starsへの依存は薄まっていくと捉えて好いか。Five Stars以外の国で伸長している国や今後成長を牽引する国はどこか。
Five Starsと比較した場合、準ずる国は数ヵ国しかなくペルー、ナイジェリア、マレーシアがそれにあたる。ナイジェリアの特殊要因を除けばFive Starsと同様に二桁成長しているが、ペルー、マレーシアにしても人口規模が小さい。マレーシアではハラール認証を取得した商品をイスラム圏に販売し、国内だけでなく輸出を含めて業績貢献をしていく。イスラム圏のエジプトやトルコに拠点作り、2016年7月にはパキスタンに合弁会社を設立する。また、タイから輸出していたミャンマーにも新会社を設立し事業を開始する。これらの国々が将来的には100億円規模となる事を期待している。パキスタンは従来のMSGから展開する戦略ではなく、販売チャネルを持った現地企業と組んで展開していく。
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今後更なる事業ポートフォリオの再編を進めていく中でどの部分に課題を持っていて、どこに成長投資を振り向けていくのか。
2020年頃までにグローバル食品企業トップ10に入る事を目指している。そこまでに選択と集中投資を行っていく。目標達成のドライバーとなるのが海外食品事業。またその先を見据えてヘルスケア領域の培地事業やCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization;受託開発製造)事業のバイオ医薬分野に先行投資している。基本的にこの方針に変更はなく、徹底的にやっていこうと思っている。新興国についてはマーケットが伸びている間に、出来るだけ食品事業のポートフォリオを広げておきたい。現在は調味料が強く加工食品を部分的に展開している状態で、未だやれていない事業が沢山ある。例えば2016年3月よりインドネシアに冷凍パンの事業を立ち上げた。今後は即食性のあるマーケットについて広めていきたい。広げていく方法については、日本でやっていた技術で出来る事、当社は出来ないが現地企業と組んで出来る事がある。現在は両方の方法により、ポートフォリオを広げる時期と考えている。
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ヘルスケアについては2020年までに積極的に投資を行っていくのか。
先行投資を行う。北米のバイオベンチャー企業であるアルテア社を買収したが、投資額がそのまま利益に発現する訳ではない。ヘルスケア領域は食品の様にゆっくり伸長するのではなく、薬が上市される時に巨大な売上が生まれる。ノウハウや技術を持った会社を買収した。
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当社は北米の冷凍食品事業について高収益な日本食・アジア食へシフトしていくという事だが、市場にデータが無いため日本食ブームの継続性や日本食・アジア食の人気理由が分からない。その背景等について教えて欲しい。
アメリカ人は新しい食を貪欲に取り入れる文化があるが、日本食をそのままを取り入れているのではなく、彼らなりの理解でアメリカ人に適したメニューを食している。当社は冷凍麺事業の展開を予定しているが、アメリカ人が好むラーメンの味を提供していく。彼らは認めた味についてはしっかりお金を払うため、まだまだ日本食・アジア食についてはチャンスがあるだろう。当社の事業は全米の冷凍食品市場からすると約1,000億円とまだ規模は小さい。1,000億円を更に伸ばすためにプレミアムな方へシフトしていく。
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コーヒー類について、今後どこまで収益性を上げることが出来るのか。
何が最も売上総利益率に効くかというと一杯当たりの単価である。コーヒーに使用される原料はコーヒー豆が最も高く、ミルク、砂糖と続く。スティック商品はインスタントコーヒーよりも利益率が高い。パーソナルレギュラーやスティック商品をいかに伸ばせるかが営業利益率上昇に繋がるだろう。
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コーヒー類の2015年度第3四半期の営業利益率が非常に高かったが、第3四半期の営業利益が出過ぎたという理解で好いか。1年間を通して、四半期ごとに営業利益率が大きく変動する事が分かった。今後、四半期ごと或いは通期でどの様に収益性を捉えるべきか。
四半期ごとに営業利益率は変動する。それは、AGF社はギフトが強く、お中元とお歳暮の季節は売上が大きくなる為である。特に、お中元は第2四半期が需要期となり販売と費用が同時に発生する。第3四半期から第4四半期にかけては、売上高は12月の需要期によって第3四半期に大きく計上されるが、費用は翌年1月に計上するため第4四半期の営業利益が小さく見える。2015年10月に新ブランドの「煎」を立ち上げた。「煎」が浸透した後の第4四半期にマーケティング投資を行ったことも収益減の要因である。
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社長就任から1年が経過したが、現在の手応えと課題を教えて欲しい。
手応えは14-16中期経営計画(以下、中計)の営業利益目標を1年前倒しで達成出来た事。為替や原料価格安と言う追い風もあるが、コア事業の稼ぐ力は着実に強くなってきた。
一方で2016年度の営業利益予想は為替と原料価格影響が逆風となり、前年並みとなっている。まだ外部環境に左右され易く、成長力に課題がある。また、構造的な課題としてはROEやEPS成長が弱く、純利益ベースの稼ぐ力は改善の余地があると思っている。 -
2015年度の取組みによって、大きなポートフォリオの組替えや構造改革は一段落したと認識して好いか。
事業の進化とともに課題は出てくるので、構造改革に終わりはない。医薬については、14-16中計でも構造課題のある事業と公表しており、それに沿った解決の取組みである。改革は単純に切り離すだけではなく、当社の資産を使いながらより成長の可能性が高い方向に進む事が肝要で、これがコモディティのスぺシャリティ化を図る事でもある。医薬事業は消化器疾患を重点領域とし、国内から海外販売網を拡大し、パイプラインも繋いで市場での影響力を大きくする事でスペシャリティファーマへの道を選んだが、その際のパートナーがエーザイ社だったという事。
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エーザイ社の決算発表資料を読むと、持分法投資利益の社外流出が約30億円増となっており、その多くがEAファーマ社であるとの記載がある。当社に計上される持分法投資利益は30億円程度と捉えて好いか。
まだ事業譲渡の会計処理(Purchase Price Allocation)が終わっておらず、のれんや無形資産の償却金額が確定していないので、詳細はまだ未確定。現状の予想では純利益ベースでは「その他」セグメントに計上される、当社に残る一部の医薬事業による営業赤字と持分法投資利益が概ね相殺されると見ている。
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脱コモディティについて伺いたい。投資家としては飼料用アミノ酸の価格を常に気にしなければならず、価格が上がったとしても、反動を気にしなくてはならない。このサイクルがずっと繰り返されているが、事業の在り方をどの様に考えているのか。スペシャリティの拡売を期待しているが、実績がついてきていない。今後、どの様にスペシャリティ化を図っていくのか。
スぺシャリティ化について、つまずいているとは思っていないが、営業利益の構成比目標50%に対する進捗が遅いのは事実。2015年度は営業利益予想65億円に対して未達に終わり、スぺシャリティの構成比も目標に対して未達だった。「AjiPro®-L」をスペシャリティの象徴として話しているが、それはターゲットそのものが新しい為、計画以上に時間が掛かっているが、着実に浸透は進んでいてリピート率は非常に高い。2016年度は初めて「AjiPro®-L」の販売数値目標(6,500t)も開示しており、達成への強い意識を持って取り組んでいきたい。
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AGF社は今後、「MAXIM®」や「Blendy®」と言ったブランドに力を入れずに自社ブランドの育成に注力するのか。
現状はこれらのブランドが強い。特に「Blendy®」ブランドはスティック商品にも使っている。「MAXIM®」はインスタントコーヒーで強いブランドだが、市場が縮小している。「MAXIM®」ブランドは縮小し、「Blendy®」ブランドが拡大しているのがトレンド。「煎」は自社ブランドとして育てていきたい。AGF社に対する期待値としては、当社が海外で既にコーヒーや粉末飲料事業を展開している国への技術導入や、新たな国への新規参入もある。海外には既に自社ブランドあるので、「MAXIM®」や「Blendy®」ブランドを使う必要はない。
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今後の国内食品事業の考え方。より事業領域を集中していくのか。新規領域への参入は行わないのか。
今後の国内食品事業は、トータルのおいしさのコーディネート力を強化していく。独自のコク味物質を開発し、外部に販売していない。長谷川香料社とのナチュラルフレーバーを共同で開発しているが、これもおいしさの領域を拡大するため。国内の市場規模は間違いなく縮小するので、どんどんシェアを拡大する考え方。必ずしもBtoCだけではなくBtoBtoCでも好い。最終製品だけではなく、CVS等のユーザーと合同で開発に携わることもある。売上規模は小さいが高収益であり、一度採用されると置き換えが少ないのが強み。BtoC向け商品でもフードサービス向け商品でも、種類が多くて低採算な側面もある。より効率化を図り生産の高速化や自動化も視野に入れている。
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2016年度は規模の拡大と効率性の改善で投資が先行するイメージだが、17-19中計も前半は同様の事業方針となるのか。
成長スピードには課題があると思っている。ウィンザー社とAGF社ののれん償却費を除くと営業利益は1,000億円近くになり、コア事業の稼ぐ力は強くなっている。ウィンザー社は現在構造改革の真っ最中。AGF社は、構造改革と言うよりは成長に向けて取組んでおり、稼ぐ力を強化している。2020年以降の営業利益目標1,500億円はゴールではない。培地事業は韓国でバイオベンチャーに出資し、アルテア社も抗体医薬事業の拡大を見越して取得したが、これから大きくなる事が期待出来る。まだ開発フェーズが浅いが、2020年以降に大きくなろう。営業利益1,500億円達成だけでなく、その後も安定的に成長出来る様な投資をしたい。営業利益1,500億円ではグローバルトップ10ギリギリの水準。発酵素材が有る故の業績ボラティリティを加味すると、継続的にトップ10に入るには1,500億円ではなく1,800~2,000億円が必要。その為の計画を17-19中計に向けて策定している。
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市場関係者と対話する中で、認識のギャップを感じることはあるか。
バイサイドとセルサイドで目線が違う印象。セルサイドは足元の業績や飼料用アミノ酸価格、KPIの進捗等に強い関心がある。どちらにも共通して感じるのは、ESGへの認識の高まり。数値で四半期ごとにレビュー出来るものではないが、半期や年度で目標への進捗をレビューする事でESGと業績の関連性を示そうと思っている。17-19中計の発表後、対話の中身が変わるかも知れない。
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決算説明会では培地や抗体医薬事業へのコメントが無かったが、半年間では事業環境に大きな変化がないからか。
Yes。特に抗体医薬の業績貢献は2020年以降になろう。フェーズ3で臨床試験に入るも、事業化まで至るのはかなり先になる。一方培地は17-19中計期間にも業績貢献が期待出来る。しかしそれは通常のバイオ医薬品用培地であり、iPS細胞用培地はまだ先になる。これらの先行投資を理解頂く必要があり、今回初めて医薬用・食品用アミノ酸の売上高構成比イメージを開示した。
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足元でタイやブラジルの成長率が鈍化しているが、競合への対策はどの様に行っているのか。
タイ、ブラジル共に基礎的な調味料は売上高もシェアも伸びている。ポジションが低く、競争が多いコーヒーや粉末ジュースは激しく競争している。競争状況は国と地域によって違うが、どの国でも中心である調味料は成長を維持出来ている。しかしいつまでも事業の柱が調味料だけではいけないので、他の加工食品でもシェアテイクしないといけない。
(具体的にどの様な施策を行うのか、との問いに)飲料や粉末飲料事業はAGF社の技術を活かすチャンスが多い。味だけでなく、消費者にとっての使い易さ向上もある。これは競合他社も持っていない。日本の「Blendy®」は冷たい水でもサッと溶ける。この技術は世界でもAGF社しか持っておらず、スティックにもお茶にも使用されている。速溶性は圧倒的に強いので、差別化を図って勝負する。 -
人材や組織のグローバル化を掲げているが、それだけで会社変わらない。どの様な運用によって目指す形を実現するのか。
三位一体の改革を掲げている。優秀な人材を雇っても組織が古ければその人の能力が活かせず変わらない。また、成長を加速する為には各国の意思決定のスピードを速めないといけない。ルールと組織と人材を並行して整理している。
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今後の成長投資と株主還元の考え方を教えて欲しい。
17-19中計を作る中で、確実性の高い財務戦略を策定しなければいけない。14-16中計は総還元係数50%超の目標に取り組んだが、この考え方は維持したい。
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組織改革としてグローバルコーポレートの設置を掲げているが、どの様な問題意識から生まれたのか。
三位一体の改革を掲げている。優秀な人材を雇っても組織が古ければその人の能力が活かせず変わらない。また、成長を加速する為には各国の意思決定のスピードを速めないといけない。ルールと組織と人材を並行して整理している。
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Five Starsの売上高実績は開示されているが、それ以外の国の販売動向や損益状況を教えて欲しい。
Five Starsは海外調味料・加工食品の営業利益の約90%を占める。その大半をタイで稼いでいる。タイ以外のFive Starsは10%台の半ば程度で伸びており、投資も必要になる。インドネシアも現地通貨ベースでは大きく伸びているので、風味調味料を増産している。いずれ世界最大の風味調味料市場になろう。ポートフォリオの拡大も可能だと思っており、冷凍パンにも期待している。ベトナムもブラジルも同じ様な状況である。ブラジルは非連続成長案件も含めて探している。タイは缶コーヒーから粉末飲料、健康飲料、即席麺まで展開しており、事業規模も大きいので高い成長率の実現は難しいかも知れないが、一方でタイにしか出来ない事もある。タイに地域統括社を作って周辺国の管理を一括し、事業拡大を進めている。例えばミャンマーへの再進出やパキスタンでのJV設立等はタイが主導になって進めてきた。また、ハラル製品の開発の考え方を統括している。実際に生産するのはマレーシアだが、前提となる開発の考え方はタイでコントロールしており、地域拡大の旗振り役になっている。
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国内の働き方について。意識改革や7時間労働の実現を目指しているが、何故そこまでの決意に至ったのか。得意先との商談や接待等で夜働かないといけない従業員や、知識労働者の様に勤務時間の概念があってない様な従業員にはどうするのか。速度感を教え欲しい。また、一連の改革は味の素㈱単体だけで取り組むのか。
まずは味の素㈱単体で取り組む。しかし事業遂行に必要なフル機能を持っているAGF社や味の素冷凍食品社には将来的に導入したい。他の関係会社はほとんどが機能会社。味の素㈱の機能の一部を担っている。また、味の素㈱で考えても、本社では出来ても営業や生産の各現場では難しい場合もあるので、機能ごとに段階的に進んでいく事になろう。2017年度からの所定労働時間20分削減は試金石であり、機能ごとに何が課題であるかを検討していく。現状、最も厳しいのは生産部門だと捉えている。コストを大きく変えずに3直での生産体制を改めるには効率化の為の設備投資が必要になるかも知れない。当社グループの中の日本地域の利益率を高める為にも、分散して大量に保有している生産設備の在り方そのものをコンパクトに見直す必要がある。17-19中計期間に、少しでも2020年に目指す7時間労働制に近づけたい。
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過去継続して強い成長を実現していたFive Starsの成長が弱まっている。各国の経済成長も弱まり、雇用の悪化等も懸念される中、どの様に事業をコントロールしていくのか。環境が悪い時の戦い方を教えて欲しい。また、足元で想定外の市場自体の変化はあるか。
新興国経済は通貨や米国、中国、日本等の大国の実体経済の浮き沈みの影響受ける。これまでの新興国の高い成長率は資源ビジネスで膨れ上がった影響が大きい。当社の事業は地に足の着いた食品事業。当社にとって、資源ビジネスの追い風影響で起こった最大のメリットは貧困層から中間所得層への移行。かつてBRICsの経済が大きく伸びた時も、食品が大きく伸びた訳ではない。各国のインフレ状況に合わせて値上げしたので結果として2桁伸びた。実需の物量は一桁半ばで伸びている。これが続いている間に次に稼ぐ仕組みとして、事業ポートフォリオの拡大を進めたい。現状、リスクとして認識しているのはナイジェリアのみ。テロの影響で営業活動が制限されているが、半年位で状況は変わると思う。また、原油安により外貨が不足しており、原材料の支払いが滞る懸念もあり同国への輸出量をコントロールしている状況。カントリーリスクと経済情勢の面でケアが必要になっている。ミャンマーは再進出する事を決めたが、何か想定外のことがあった訳ではない。
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当社の戦略策定上、社外取締役はどの様な機能を果たしているか。また、どの様な役割を期待しているか。
コーポレート・ガバナンス・コードを昨年度批准しているが、取締役会の有効性をどう図るかが課題。今は日本の上場会社の標準レベルであると認識している。社外取締役は3名いるが、取締役は全部で14名である。以前よりは発言の機会も増え、社外取締役の声で戦略が変わった事もある。取締役会のあり方そのものはまだまだ改善の余地がある。
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今後の日本の調味料・加工食品の営業利益率を更に高める事は可能か。また、中期的には海外の調味料・加工食品並みまで高められる可能性はあるか。
管理会計の仕組みにもよるが、利益率改善は可能だと思っている。現在は償却の終わっている古くて生産効率の低い設備が分散している。それを解決し、コンパクトな設備に変えたり立地的にまとめたりすれば利益率も改善するだろう。方向性としては、効率化を図る事で利益率の改善には努めていく。
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グローバルトップ10と言われる企業は利益率の目線が高い。当社は日本というホームカントリーでもっと利益額、率ともに高めていかないと、グローバルトップ10入りが難しいのではないか。成長投資への原資を安定的に稼ぐためにも、日本は大事な国だと思う。
稼ぎ頭の国はどこかという話。日本は人口も1億人以上おり、今はキャッシュカウだが、理論上はもっと人口の多い国が稼ぎ頭になった方が好い。調味料だけを取ると、今でも営業利益率はグローバルトップクラス。当社はグローバル全体ではなくマルチナショナルなローカル競争で勝っていく。