トップマネジメントとしては、ウィンザー社の買収後、2015年4月に新しいCEOを採用した。1,000億円弱規模の企業をマネジメントする経験を持ち、当社の考え方に即した付加価値型事業への転換に適した人材に来てもらい、CEOのリーダーシップを中心にマネジメント層の改革を進めてきた。工場のスクラップアンドビルドを計画したり、最適な体制に向けて生産の組み合わせを変えようとしている中で、生産の安定化という観点で課題が露呈してきた。生産マネジメントやサプライチェーンマネジメント観点から、ライトパーソンへの転換を行っている。具体的な事例として、AWI社の2番目の柱であるアペタイザーについて、従来はピードモント工場で作っていたが、売却してミズーリ州に新工場を建設。ハリケーンの影響で遅れていたが、概ね予定通り立ち上がり、12月から稼働させる。ピードモント工場では新工場設立後を見据えて在庫を溜めていかなければならないが、旺盛な需要の下で対応能力以上のオーダーを頂き、生産現場が混乱してしまい結果として上期+2%の成長しかできなかった。この様なチャンスロスが新工場で発生しないように体制の立て直しを図っている。イタリアンの失注については、それほど重篤ではないと思っている。AWI社はアジアン、アペタイザー、メキシカンが事業の柱であるが、その次にイタリアンがある。大手需要家からOEMを受けているウェイトが大きく、縮小はしてきているが、上期段階では10%程度の構成比が残っている。競争力がある訳ではないので、失注した。本来は、アジアンやアペタイザーといった主力事業でカバーしなければならないが、それができなかった。アペタイザーは生産面の問題で、アジアンは大改定をしたものの、大口顧客向けの出荷が8月末までずれ込んだ影響が大きかった。10月度の状況を見ていると、アジアンの導入が進み、失注分を一部カバーし、増収には転換してきている。4-9月では前年並みだったが10月度は増収。但し、新工場が12月に稼働されるため、生産の安定という観点では実効性が高まっていない。増収減益という状況が10月も続いている。しかし対前年で見た場合の減益額の幅は4-9月と比較するとかなりリカバーしてきている。伸ばすべきアジアンがしっかり伸びてきた結果である。
(投資をした時の狙いと、短期的なイタリアンのカットや大手顧客向けの導入時期ずれは、構造的にどの程度大変な問題なのか。)アジアンカテゴリー自体がニッチなカテゴリーであり、競争が激化しない代わりに流通からすると取り扱いの優先順位は高くない。その為導入が後回しになり、今後もそのようなリスクはある。生産の安定性については大きな課題で、通常のオペレーションやサプライチェーンと生産計画をつなぐ部分が脆弱ということが露呈してきた。そのため、11月のアナリスト説明会では、リカバーはFY17で終わらずFY18にも続く可能性があるとお伝えさせて頂いた。
(買収時、何をしていれば現在の様な問題が発生したと考えているか。どのようなところが失策だったのか、との問いに)今から振り返ると、生産を統括するチーフプロダクトオフィサー(以下、CPO)がいればよかった。将来のGP率改善の為に各工場における生産品目を集約しようとしているが、体制が整うまでは1つの工場で複数品目を生産するという複雑な計画を策定してしまい、そのマネジメントが現時点では上手くいっていない。優先順位を付けてまずはアジアンから対応した。次にアペタイザーについては現在着手中であり、メキシカンは来年度にスクラップアンドビルドをするという計画。CPOを設けていれば、工場再編計画全体の視点からアドバイスをもらえたかも知れない。トップマネジメントと9工場のマネジメントの間のコミュニケーションに課題があった。